「やめて!」

頭で響く自分の声に、私は思わず叫んでいた。
すごい勢いで気持ちがぐらぐらと揺れている。
未練解消をすることを私が避けたのは確実だ。

きっと……思い出してはいけないんだ。

「私……未練解消なんてできない。もう、私のことは放っておいて」

感情を抑えてそう言うが、
「友達を放っておくことはできないよ。それに僕が未練解消をしたいだけだよ」
目じりを下げて輪はそう言う。

クロがイラついたように地面を蹴った。

「そんなことしてお前に何の得があるんだ? お前、なにかたくらんでいるな?」

鼻息荒く指摘するクロに、輪は白い歯を見せて笑った。

「友達を助けるのに理由なんていらないじゃないですか」

あまりにも濁りのない言いかたに、私は口をぽかんと開けた。
見るとクロも同じ形で固まっている。
こんな醜い体と心の私を友達だと思ってくれているの?
そんなわけない。
私だったらこんな化け物になりかけている存在に近寄りたくないから。