ぱちり。


目が覚める。


茶色の天井はまだ見慣れなくて、何度か瞬きをしてしまう。


ああ、またやってこれた。


そんな嬉しさで思わず呼吸を忘れた。


ギシリと音を立てる古めのベッド。


起き上がるのにきっと3分程かかった。


服は寝た時の格好のままで、部屋だけがガラリと変わっている。


この世界へ来ると安心という毛布が暖かく優しくわたしを包んでくれる。


もはやルーティーンと化してしまった動き、時計を確認する。


大きな古時計は針が1本足りず、

壁掛け時計は多分電池切れ、

腕時計は秒針以外が全く動かない。


なんて素晴らしい。


『時間』に囚われ無い、だなんて夢みたいだ。


ずっと憧れだった。


何ものにも囚われず、自由気ままに生きてゆくのが。


フローリングをぺたぺた裸足で歩く。


この部屋唯一の窓へ近寄ってみる。