私はブンブンと頭を振る。
ダメだ、また余計なことを考えてしまった。
今日は最後の日だから、そういうこと抜きにして楽しみたいのに。

「平野さん?どうかした?」

突然頭を振った私を、胡桃さんが心配そうに伺ってくる。

「いえ、あの、グリーンカレーが辛くて。」

4種類のカレーのひとつをグリーンカレーにしていて、さっき食べたとき口が痺れるほど辛かった。
とっさについた嘘だったけど、胡桃さんはすんなり信じてくれる。

「水、もらおうか?」

私の答えを聞く前に、胡桃さんは「すみませーん」と店員さんを呼んで、お水をくれるよう頼んでくれた。
ささっと気遣いしてくれるところも、本当に素敵だと思う。

ああ、また。
また“好き”を見つけちゃったよ。