オレとリゼットは追っ手を振り払い、無事に飛行を続けているように思われた。リゼットの飛行するスピードが落ちたと思った瞬間、目の前に黒い翼を羽ばたかせている赤い服を着た男が現れた。その服は、正装のような服で、西洋の貴族が着ている服に見える。
「シャルパンティエ ピエール=アレクシス公爵、ようやく現れたか……」
リゼットは、覚悟を決めたような顔をして空中に静止した。男も彼女と10メートルほどの距離を取って、空中に静止する。男性の年齢は、20歳(ハタチ)前後で黒髪のショートカット、色黒のイケメンだった。男性とリゼットは見つめ合い、1分ほど沈黙の時間が続く。
「アレクシス、やるじゃない。追っ手を差し向けて、私の航路を限定させるなんて……。あなたが現れた時点で、ようやく飛行を誘導されていたことに気が付いたわ。ここで、私と一戦交える気なのね?」
どうやら、さっきまで数人ほどリゼットとオレを追って来たのは、彼の手下らしい。彼の手下は、黒いローブを被ったいかにも魔術師らしい風貌だったが、彼は騎士といった感じの雰囲気と威圧感を持っていた。
「いかにも。我が婚約者『ダルク リゼット』姫、我が祖国の野望のため、ここで海の藻屑となってもらう。我が私情を挟んでの無礼にご容赦願いたい!」
「やっぱり私との結婚には反対というわけね。それで、私を殺して、私の国を奪い取ろうなんて良い度胸してるじゃない。絶対に、国も、私の命もあげない! たとえあなたの方が実力が上だとしても、ここは逃げ切ってみせる!」
どうやらアレクシスという男は、リゼットの婚約者らしい。だが、なんらかの理由で結婚を拒んでいるようだ。ロリ巨乳のリゼットを命を奪ってまで断る理由とは、なんなのだろうか? オレは、1つの考えに行き着いていた。
「このアレクシスとかいう男、まさかのホモか? でなければ、超絶美少女ロリ巨乳のリゼットと結婚しないはずがない!」
「いかにも……」
「やっぱり! リゼット、あいつは変態ですよ! あなたとの結婚よりも男との結婚を重視するような危険な奴だったんです。早めに婚約解消して、オレと結婚した方が安全ですよ!」
「煩いわね、もう1人の危険人物が! あなたもロリコンとかいう危険人物なのは分かっているのよ。まあ、アレクシス公爵がホモだというのも、ちょっとショックだけどね。実際、向こうから断らなければ、結婚してたと思うし……」
「なんだって!? あいつが結婚を断らなければ、リゼットが結婚を望んでいただと!?」
「うん、幼馴染だし、イケメンだし、好きだった……」
リゼットは、昔を思い出して、少し顔を赤くしていた。幼い時に何かしらの恋心を感じていたらしい。だが、今は、2人は敵同士のライバル関係にあるのだ。しかも、アレクシス公爵という男が一方的にリゼットの事を嫌っている。
「このホモの変態野郎が! オレのリゼットを傷付けた事、死をもって償ってもらう!」
オレは、リゼットの心の中の悲しみを感じ取っていた。好きだった男に振られた上、命と国まで狙われているなど女性からしたら耐えられないだろう。しかも、ホモなどという恐るべき理由で振られたのだ。もはや死刑に値する犯罪行為だった。
「ちょっと待て、何か誤解しているようだが、『いかにも……』の後にも言葉を続けるつもりだったのだぞ。せめて、落ち着いて我が言葉を聞いてくれ。あらぬ誤解を招いては、我がイメージにも傷が付いてしまう……」
死刑囚が何かをほざいているようだが、もはやオレとリゼットの耳には届かなかった。リゼットを振ったこと自体、万死に値する行為なのだ。その上、彼女の命と国を狙っている。生かしておくわけにはいかない。
「もう、何も語らなくて良い。ホモの公爵様、今ここで、自分の犯した罪を償ってもらうのだからな!」
オレは、リゼットに支えられている状態で意気込んでいた。彼女がその腕を放せば、オレは空中に放り出されて、地面に叩きつけられてしまうだろう。そんな事にも気が付かないほど、オレは怒り狂っていた。彼女を悲しませるなんて、これ以上はさせたくないのだ。
「ふう、まずはその男を亡き者にしなければいけないらしいな。では、食らうが良い。『剣術(ソード) 穢(けが)れと悪しき存在を断ち切る灼熱の炎を我が元に剣として具現化せよ! その灼熱を持って、数多の敵を灰と化せ!』」
アレクシスがそうスペルを唱えると、彼の手元に炎の剣(フレイムソード)が出現した。数メートル離れているはずなのに、こっちまで熱気が伝わってくる。どうやらリゼットより実力が上というのは本当のようだ。
「うう、本気出したアレクシスと戦ったら、私もあなたも無事ではいられないわ……」
「ふん、オレに任せな! もう、魔法の知識はなんとなく理解した! 『召喚(サモン) 雷帝招来!』」
オレは、リゼットに習って召喚術を使ってみる事にした。四文字熟語というカッコイイフレーズだけに、威力はかなり強いと期待できる。雷神を味方にする事ができれば、バトルはかなり有利になるのだ。
「バカな……、速攻スペル召喚だとっ!? コイツ、相当の自信があるのか、それともただのド素人か……」
「雷神招来!? ド素人がやって無事で済む召喚方法ではないわ! 神獣である『麒麟(キリン)』が、この辺り一帯を全部燃やし尽くしてしまうわ!」
2人の上級魔術師が驚愕(きょうがく)していた。強過ぎる生物を呼ぶという事は、自分自身も危険に晒される恐るべき行為なのだ。四字熟語は確かに強い。だが、強過ぎるゆえに制御も難しい禁術に指定されていたのである。
「なんだ、辺り一帯が暗くなっていく……。これが、雷帝招来!?」
オレは、驚きつつも興奮を抑えられなかった。超強い武器が発動するというのは、男にとってはロマンを感じさせる。天候さえも変えてしまう未知の生物を期待して待ち構えていた。巨大な黒雲の真ん中から、その恐るべき生物は雷鳴と共にやって来ている。
「ちっ、ここは引くしか方法がない!」
アレクシスでさえも、自分の身を守るのに必死になっていた。空中で身を守る物が一切無い状況では、麒麟(キリン)の一撃で絶命してしまう。それは、リゼットも同じ条件だった。ただし、彼女の方が場数を踏んでいるため、冷静に対応していた。
「『防御(ガード) 数多の水の精霊達よ、雷(イカズチ)を司る恐るべき生物を汝(なんじ)の力を持って通り過ぎさせよ!』」
オレとリゼットの周りに巨大な水の膜が多い囲み、雷(イカズチ)の通り道を確保し始めていた。その防御壁ができた瞬間、オレとリゼット、アレクシスを覆い隠すかのような眩い閃光が辺りを包み込んだ。光ったと思った瞬間に、激しい衝撃がオレ達を襲う。
オレ達のいた場所は全て吹き飛ばされ、巨大なクレーターが地面に出現していた。土ぼこりが舞い上がり、しばらく上空を薄い土煙が漂っていた。リゼットは、水の防御壁を避雷針の代わりにして、なんとか雷の直撃を免れていた。
オレを支えつつも、地上まで無事に着陸する。気力だけでペガサスの翼を操っていたようだが、受けた衝撃は相当強い。気絶するのをギリギリで耐えて、なんとかオレと彼女自身を無傷で地上に不時着させていた。彼女の顔から汗が滴り落ちるほど疲労しているようだ。
「はあ、なんとか無事に切り抜けられた。でも、もう無理……。ごめん、ちょっと休ませて……」
彼女は、オレの腕の中で気絶するように眠り始めた。息をしているのは分かるが、無防備な姿を晒している。オレを守る為に、自分の防御を最小限に抑えていたようだ。今なら彼女になんでもできるが、オレには邪な気持ちさえも湧き上がって来なかった。
「今なら、オッパイを揉むことも、キスする事も、それ以上のこともできる。だが、オレを命がけで守ってくれた崇高な彼女を汚す気にはならない。オレが、しばらく守ってやる。絶対に、お前を安全な場所まで送り届けてみせるぜ!」
オレは、彼女をお姫様抱っこで抱えて走る。気絶している人間はとても重い。無職で小説家のオレには、女の子の体重でさえ支えるのは大変な労力だった。彼女を抱きかかえて走る度に、彼女のオッパイが魅惑的に揺れる。
「とりあえず、建物の中に運んだら、オッパイを触らせてもらおう。そういう欲望でもなければ、1人の人間を抱えるのは無理だ……」
彼女は必ず安全な所まで運ばなければならない。その為には、自分の性欲さえも武器にしなければいけないのだ。彼女の揺れるオッパイを見る度に、不思議と力が湧いてきた。早く建物の中に入って、彼女のオッパイに触れたいと渇望している。
-------
その頃、アレクシス公爵もなんとか麒麟(キリン)の一撃を耐えていた。だが、無事とは言い切れず、彼のイケメン顔が雷で焼け爛(ただ)れていたのだ。受けた傷は、命に危険を及ぼすようなものではなかったが、彼に本気の怒りを与えるには十分だった。
「おのれ、リゼットとあの男、絶対に生かしてはおかん! リゼットは、我の知っている美しい彼女では無くなった。このまま汚れていく彼女を許容するくらいならば、いっそ我が手で亡き者にしてくれる。
そして、我が顔に傷を付けたあの男は、惨たらしく殺してやる! 次に会った時は、一切の容赦はしない。確実に息の根を止めて、リゼットの眼前で灰にしてやるわ。我が回復した時が、貴様らの最後だと思って待っていろ!」
どうやらアレクシス公爵も、かつてはリゼットの事が好きだったらしい。幼い姿の彼女の写真を大切に握り締めていた。なんらかの理由により、彼はリゼットを殺したいほど憎んでいるらしい。愛情があったからこそ、恨みを感じた怒りも倍増しているようだった。
「シャルパンティエ ピエール=アレクシス公爵、ようやく現れたか……」
リゼットは、覚悟を決めたような顔をして空中に静止した。男も彼女と10メートルほどの距離を取って、空中に静止する。男性の年齢は、20歳(ハタチ)前後で黒髪のショートカット、色黒のイケメンだった。男性とリゼットは見つめ合い、1分ほど沈黙の時間が続く。
「アレクシス、やるじゃない。追っ手を差し向けて、私の航路を限定させるなんて……。あなたが現れた時点で、ようやく飛行を誘導されていたことに気が付いたわ。ここで、私と一戦交える気なのね?」
どうやら、さっきまで数人ほどリゼットとオレを追って来たのは、彼の手下らしい。彼の手下は、黒いローブを被ったいかにも魔術師らしい風貌だったが、彼は騎士といった感じの雰囲気と威圧感を持っていた。
「いかにも。我が婚約者『ダルク リゼット』姫、我が祖国の野望のため、ここで海の藻屑となってもらう。我が私情を挟んでの無礼にご容赦願いたい!」
「やっぱり私との結婚には反対というわけね。それで、私を殺して、私の国を奪い取ろうなんて良い度胸してるじゃない。絶対に、国も、私の命もあげない! たとえあなたの方が実力が上だとしても、ここは逃げ切ってみせる!」
どうやらアレクシスという男は、リゼットの婚約者らしい。だが、なんらかの理由で結婚を拒んでいるようだ。ロリ巨乳のリゼットを命を奪ってまで断る理由とは、なんなのだろうか? オレは、1つの考えに行き着いていた。
「このアレクシスとかいう男、まさかのホモか? でなければ、超絶美少女ロリ巨乳のリゼットと結婚しないはずがない!」
「いかにも……」
「やっぱり! リゼット、あいつは変態ですよ! あなたとの結婚よりも男との結婚を重視するような危険な奴だったんです。早めに婚約解消して、オレと結婚した方が安全ですよ!」
「煩いわね、もう1人の危険人物が! あなたもロリコンとかいう危険人物なのは分かっているのよ。まあ、アレクシス公爵がホモだというのも、ちょっとショックだけどね。実際、向こうから断らなければ、結婚してたと思うし……」
「なんだって!? あいつが結婚を断らなければ、リゼットが結婚を望んでいただと!?」
「うん、幼馴染だし、イケメンだし、好きだった……」
リゼットは、昔を思い出して、少し顔を赤くしていた。幼い時に何かしらの恋心を感じていたらしい。だが、今は、2人は敵同士のライバル関係にあるのだ。しかも、アレクシス公爵という男が一方的にリゼットの事を嫌っている。
「このホモの変態野郎が! オレのリゼットを傷付けた事、死をもって償ってもらう!」
オレは、リゼットの心の中の悲しみを感じ取っていた。好きだった男に振られた上、命と国まで狙われているなど女性からしたら耐えられないだろう。しかも、ホモなどという恐るべき理由で振られたのだ。もはや死刑に値する犯罪行為だった。
「ちょっと待て、何か誤解しているようだが、『いかにも……』の後にも言葉を続けるつもりだったのだぞ。せめて、落ち着いて我が言葉を聞いてくれ。あらぬ誤解を招いては、我がイメージにも傷が付いてしまう……」
死刑囚が何かをほざいているようだが、もはやオレとリゼットの耳には届かなかった。リゼットを振ったこと自体、万死に値する行為なのだ。その上、彼女の命と国を狙っている。生かしておくわけにはいかない。
「もう、何も語らなくて良い。ホモの公爵様、今ここで、自分の犯した罪を償ってもらうのだからな!」
オレは、リゼットに支えられている状態で意気込んでいた。彼女がその腕を放せば、オレは空中に放り出されて、地面に叩きつけられてしまうだろう。そんな事にも気が付かないほど、オレは怒り狂っていた。彼女を悲しませるなんて、これ以上はさせたくないのだ。
「ふう、まずはその男を亡き者にしなければいけないらしいな。では、食らうが良い。『剣術(ソード) 穢(けが)れと悪しき存在を断ち切る灼熱の炎を我が元に剣として具現化せよ! その灼熱を持って、数多の敵を灰と化せ!』」
アレクシスがそうスペルを唱えると、彼の手元に炎の剣(フレイムソード)が出現した。数メートル離れているはずなのに、こっちまで熱気が伝わってくる。どうやらリゼットより実力が上というのは本当のようだ。
「うう、本気出したアレクシスと戦ったら、私もあなたも無事ではいられないわ……」
「ふん、オレに任せな! もう、魔法の知識はなんとなく理解した! 『召喚(サモン) 雷帝招来!』」
オレは、リゼットに習って召喚術を使ってみる事にした。四文字熟語というカッコイイフレーズだけに、威力はかなり強いと期待できる。雷神を味方にする事ができれば、バトルはかなり有利になるのだ。
「バカな……、速攻スペル召喚だとっ!? コイツ、相当の自信があるのか、それともただのド素人か……」
「雷神招来!? ド素人がやって無事で済む召喚方法ではないわ! 神獣である『麒麟(キリン)』が、この辺り一帯を全部燃やし尽くしてしまうわ!」
2人の上級魔術師が驚愕(きょうがく)していた。強過ぎる生物を呼ぶという事は、自分自身も危険に晒される恐るべき行為なのだ。四字熟語は確かに強い。だが、強過ぎるゆえに制御も難しい禁術に指定されていたのである。
「なんだ、辺り一帯が暗くなっていく……。これが、雷帝招来!?」
オレは、驚きつつも興奮を抑えられなかった。超強い武器が発動するというのは、男にとってはロマンを感じさせる。天候さえも変えてしまう未知の生物を期待して待ち構えていた。巨大な黒雲の真ん中から、その恐るべき生物は雷鳴と共にやって来ている。
「ちっ、ここは引くしか方法がない!」
アレクシスでさえも、自分の身を守るのに必死になっていた。空中で身を守る物が一切無い状況では、麒麟(キリン)の一撃で絶命してしまう。それは、リゼットも同じ条件だった。ただし、彼女の方が場数を踏んでいるため、冷静に対応していた。
「『防御(ガード) 数多の水の精霊達よ、雷(イカズチ)を司る恐るべき生物を汝(なんじ)の力を持って通り過ぎさせよ!』」
オレとリゼットの周りに巨大な水の膜が多い囲み、雷(イカズチ)の通り道を確保し始めていた。その防御壁ができた瞬間、オレとリゼット、アレクシスを覆い隠すかのような眩い閃光が辺りを包み込んだ。光ったと思った瞬間に、激しい衝撃がオレ達を襲う。
オレ達のいた場所は全て吹き飛ばされ、巨大なクレーターが地面に出現していた。土ぼこりが舞い上がり、しばらく上空を薄い土煙が漂っていた。リゼットは、水の防御壁を避雷針の代わりにして、なんとか雷の直撃を免れていた。
オレを支えつつも、地上まで無事に着陸する。気力だけでペガサスの翼を操っていたようだが、受けた衝撃は相当強い。気絶するのをギリギリで耐えて、なんとかオレと彼女自身を無傷で地上に不時着させていた。彼女の顔から汗が滴り落ちるほど疲労しているようだ。
「はあ、なんとか無事に切り抜けられた。でも、もう無理……。ごめん、ちょっと休ませて……」
彼女は、オレの腕の中で気絶するように眠り始めた。息をしているのは分かるが、無防備な姿を晒している。オレを守る為に、自分の防御を最小限に抑えていたようだ。今なら彼女になんでもできるが、オレには邪な気持ちさえも湧き上がって来なかった。
「今なら、オッパイを揉むことも、キスする事も、それ以上のこともできる。だが、オレを命がけで守ってくれた崇高な彼女を汚す気にはならない。オレが、しばらく守ってやる。絶対に、お前を安全な場所まで送り届けてみせるぜ!」
オレは、彼女をお姫様抱っこで抱えて走る。気絶している人間はとても重い。無職で小説家のオレには、女の子の体重でさえ支えるのは大変な労力だった。彼女を抱きかかえて走る度に、彼女のオッパイが魅惑的に揺れる。
「とりあえず、建物の中に運んだら、オッパイを触らせてもらおう。そういう欲望でもなければ、1人の人間を抱えるのは無理だ……」
彼女は必ず安全な所まで運ばなければならない。その為には、自分の性欲さえも武器にしなければいけないのだ。彼女の揺れるオッパイを見る度に、不思議と力が湧いてきた。早く建物の中に入って、彼女のオッパイに触れたいと渇望している。
-------
その頃、アレクシス公爵もなんとか麒麟(キリン)の一撃を耐えていた。だが、無事とは言い切れず、彼のイケメン顔が雷で焼け爛(ただ)れていたのだ。受けた傷は、命に危険を及ぼすようなものではなかったが、彼に本気の怒りを与えるには十分だった。
「おのれ、リゼットとあの男、絶対に生かしてはおかん! リゼットは、我の知っている美しい彼女では無くなった。このまま汚れていく彼女を許容するくらいならば、いっそ我が手で亡き者にしてくれる。
そして、我が顔に傷を付けたあの男は、惨たらしく殺してやる! 次に会った時は、一切の容赦はしない。確実に息の根を止めて、リゼットの眼前で灰にしてやるわ。我が回復した時が、貴様らの最後だと思って待っていろ!」
どうやらアレクシス公爵も、かつてはリゼットの事が好きだったらしい。幼い姿の彼女の写真を大切に握り締めていた。なんらかの理由により、彼はリゼットを殺したいほど憎んでいるらしい。愛情があったからこそ、恨みを感じた怒りも倍増しているようだった。