オレは、引き込まれるようにウンディーネの体を抱き締める。彼女のふくよかなオッパイ、それを感じたくて上半身を裸にしたのだが、彼女から感じた刺激は想像していたのとは別の物だった。氷のような冷たい体が皮膚に貼り付き、物凄く痛い。

「ぎゃああああああ、肌が貼り付いて取れない。痛え、死ぬ!」

「うふふふ、無理に剥がそうとすると、本当に死にますよ。ウンディーネの中には、雪女というちょっとヤンデレ気質の女の子もいるのです。今回のように魅力的な体で引き付けられたら、命を落としますよ。私だったから皮膚が赤くなる程度で済みましたけど……」

「はあ、はあ、はあ、離れた……」

 ウンディーネが触れた部分が赤く焼けていた。まるでドライアイスを貼り付けられたような痛さと熱さだった。オレの皮膚は軽く火傷をして、しばらく女の子を抱きしめるのが怖くなっていた。ちょっと触れただけで激痛が走るのだ。

「うふふ、リゼットが婚約者候補にしたという事は、まんざら嫌いでもないという証です。まじめに彼女を助けていれば、王様になれる機会も巡ってきますよ。でも、早過ぎる展開だと感じた場合は、私が監視している事をお忘れなく。

 では、彼女の服を着替えさせて、私は引っ込むとしますか。今のあなたなら、女の子に触れる事さえキツイでしょうから……。あなたとリゼットが両想いになったなら、邪魔する事はありませんよ。せいぜい彼女の心を奪ってみてください」

 ウンディーネは、氷のカーテンを作り出し、磨りガラスのような見辛い状態を作り出した。ベッドの外にいるオレには、リゼットの全裸やブラジャー姿が薄っすらとだけ見える。少しだけ視界がある分、セクシーな雰囲気を醸し出していた。

「リゼット、今はブラジャー姿か。あっ、パンティーを脱がされた。くっ、磨りガラスで見えないことが妬ましい。もっと氷のカーテンに近付いて、可愛い体を見せてくれよ……」

「それは出来ませんね。あなたも彼女の騎士(ナイト)なら、時と場合を考える方が良いですよ。彼女は今、愛する人から傷付けられて傷心の状態です。そこに追い打ちをかけるような事をすれば、嫌われてしまうでしょう。

 あなたといる時に彼女は笑っていました。少しばかりあなたに気を許したからこそ、命がけであなたを守って倒れたのです。それは、私が警護していたのもありますが、あなたを危険人物ではないと判断したからです。ゆっくりと彼女との恋愛を楽しんではいかがですか?」

「くう、そんな可愛い事を知らされると、愛情を感じてしまうな。とりあえず、事故という事でその美しい姿を拝見して見ますか。今なら、新しい下着に替えたばかりでブラジャーとパンティーは装備しているはず……。サラマンダーの力ならば壊せる!」

「サラマンダー!?」

 オレの言葉を聞き、ウンディーネはある事に気が付いた。オレとの戯れで忘れていたが、サラマンダーの火龍は、まだ虫の息で助け出されていない。早く檻から出して解放しなければ、サラマンダーは消滅してしまうのだ。

「早く、ラシェルの体から鍵を見付けないと……。氷のガラス解除!」

 氷のカーテンが溶けるように消え去ると、そこには上下セットの青いブラジャーとパンティーを身に付けたリゼットがいた。オレは30歳ながらも15歳の女の子の素肌と下着姿を見て興奮していた。こんな高揚感は久しぶりだ。

「うおおおおおお、リゼット可愛い! オレの理想通りの可愛い姿を見せてくれるなんて、ウンディーネお姉さんありがとうございます!」

 ウンディーネは、すでにリゼットの姿ではなく、通常の彼女本人のちょっと大人びた雰囲気の女性姿に変わっていた。オッパイはリゼットとさほど差はないが、大人の女らしい妖艶な美しさがある。リゼットには、まだ無い魅力の1つだった。

 だが、オレにはそんな大人の魅力も消し飛ぶくらいに、リゼットの上下セットの青い下着姿は興奮を誘う。はち切れんばかりの綺麗なオッパイに、青いブラジャーが装備されているのだ。誰も人類が侵入した事の無い美しい洞窟を想像させる。

「そんな事は後回しにして、ラシェルの体から鍵を探すんだ。後、数分くらいで消滅の時間に入ってしまうぞ!」

「えっ、オレがラシェルの体を弄って、鍵を取り出すのか?」

「そういえば、お前がラシェルを着替えさせたんだったな。探すのは、彼女の体じゃなくて、着ていた軍服ワンピースの方だ。無ければ、体の方を探ってもらうが……」

 ウンディーネは、脱がせたばかりの軍服ワンピースをオレの方に投げてよこす。まだ暖かい体温と彼女の残り香がある。オレは、匂いを嗅ぎながら彼女の服から鍵を探す。女の子らしいラシェルの特有の匂いが、オレを再び興奮させていた。

「ありがとうございます。ウンディーネお姉さん、この服は、オレが責任を持って保管しておきます。クンクン、なんて良い香りなんだ。甘いけれど、まだ恋を知らない乙女の匂いだ。あっ、鍵が見つかりました! ちっ、なければ彼女の体を触れたのに……」

「お前を拒むかのように見付かったな。私もちょっとドン引きしたぞ。頼むから、しばらくはリゼットの前では紳士でいてくれよ。せっかく少し上がった好意が、一気に地の底にまで落ちるぞ」

「はいはい、分かってますよ!」

 オレは、サラマンダーの首が入った檻に近付く。鍵を差し込んで、錠を外す。かちゃりという音が鳴り、キーという音を立てて扉が開いた。サラマンダーの頭はでかい。籠の扉から出せるかなと思っていると、スーッとサラマンダーの首が消える。

「すいません。どうやら手遅れでした。サラマンダーの首が消滅してしまいました」

 オレは、落ち込んだフリをして、リゼットの体を眺める。一通り見回してから、可愛いなあと改めて思った。オッパイも顔も、背の高さまでがオレの理想通りの姿だ。オレと並んで歩くと、彼女の頭がちょうどオレのアゴの位置に来る。手頃なサイズの大きさと言える。

「いや、アレを見てみろ!」

 ウンディーネが指差す方向を見るように指示するが、オレはリゼットの体から目を離したくなかった。10秒ほど名残惜しみながら見て、ようやく指差す方向を見る。オレの心を悟ったのか、ウンディーネは無表情のまま固まっていた。

「どれどれ?」

 オレは、リゼットに近付きつつ、オッパイの方に手をやる。柔らかいオッパイが、オレの手の中に収まっていた。振り返る素振りをして、リゼットのオッパイを触ることには成功したが、揉んで良いかを悩んでいた。

「おお、サラマンダーの体が復活して、頭もちゃんと付いてる。良かった、生きてたんだ!」

 オレは、喜ぶフリをして、リゼットのオッパイを優しく揉み込んだ。プニッという弾力を感じて、オレは2回ほど連続で揉んだ。この行為は、ウンディーネにもバレていないと思っていたが、彼女が軽く肩を叩いてきた。

「死ぬなよ……」

 彼女はそう言って優しく微笑み、サラマンダーと一緒に消え始めた。どうやら消滅して行くわけではなく、オレの視界から消えただけのようだ。召喚術を使えば、また再び出現させる事ができるのだ。

 サラマンダーが消えた事により、部屋は通常の明かりだけが頼りという暗さに戻っていた。サラマンダーが回復した瞬間、部屋は眩しいばかりに明かりで照らされていたが、一気に居なくなると暗闇になったのかというほど静けさを感じる。

「うーん、何か胸に当たってる……」

 リゼットが、サラマンダーの光を浴びた事によって目覚め始めた。更に、オレが胸を揉んだ事によって完全に目が覚めたようだ。眠たそうな目を軽く擦って、辺りの状況を確認し始めた。まずは、自分の胸に違和感がある事を察して、そちらの方を確認する。

「はーい、ハニー。お目覚めですか?」

 リゼットは、オレの顔を見てから、自分の胸元に視線を移す。オレが今何をしているか、自分が何をされているかをハッキリと理解していた。オレは、リゼットが目覚めた後も、男らしく彼女の胸を3回ほど揉んでいたのだ。

 頭では怒られると分かっていても、体がついていけない。彼女から手が離されるその時まで、オレは激しく胸を揉んでいた。彼女の胸を揉むペースはだんだん速くなり、彼女の顔が少し赤くなって興奮し始めていた。

「あなた、どこを揉んでるのよ。しかも、私が目覚めてから一気に揉むペースが速くなったし……。さっさと、その手を離しなさいよ!」

 リゼットの平手打ちが鳴り響いた。オレは、平手打ちを頰で受け取るが、微動だにもしない。わずかな時間でもリゼットの胸を揉んでいたいのだ。ここで痛みのショックに負けて、手を離すようなオレではない。

「ちょっと、心臓マッサージを……」

「心臓、動いていたわよ。まだ揉み続けるのかしら? 『剣術(ソード) サラマンダーの炎よ、我が手に剣を携えて紅く燃え上がれ。不埒な輩に聖なる浄化の炎を持って、神罰を与える。喰らえ、“サラマンダーブレード”』」

 リゼットは無意識のうちだったが、部屋の中にいたのがサラマンダーである事を理解していたらしい。部屋の中が再び明るく熱くなり、オレの体に炎の剣の熱気が迫っていた。さすがに、攻撃を受けたら一溜まりもない。

 オレは、ベッドから飛び起きるようにして攻撃を避けた。彼女は本気で攻撃してきたわけではない。オレが避けれる程度のスピードで攻撃してきたのだ。前に彼女が付けたハート型の焼け痕が疼き、熱さと痛みを感じさせる。

「痛、痛い……。焼け跡が疼く?」

「ふん、その焼け痕は、炎に共鳴して痛みと熱さを感じるわよ。私があなたの居場所や体の状況なんかを察知する事もできるし、痛みを与えて懲らしめる事もできる。実は、溶かし込んだファイヤードレイクの一部が埋め込んであって、それと共鳴しているのよ♡」

「熱つつつ! 痛い!」

 オレは、あまりの熱さに転げ回る。首筋が急激に熱くなり、耐え難い痛みを感じていた。さっきまでは痛みさえもなかったのに、今は燃えるように熱い。リゼットは、ちょっとS気味な笑いをして、オレが踊り狂うのを楽しんで見ていた。

「あはははは、私の体に無断で触れるとこうなるわよ。本当は、フレイムソードで焼き殺してやっても良かったけど、それなりに守ってくれたようだし、オッパイを揉んだ事は不問にしてあげる。それよりも、お腹が空いたから何か食べたいんだけどなぁ♡」

 リゼットは、無邪気な笑顔で食料を要求してきた。料理なんてしている時間は無かった。もうしばらく待ってもらわなくてはいけない。美味しい物ができる保証は全くないが、それでも食べられる物くらいは作れるはずだ。