メキッという木の軋むような音が聞こえ、エリオットが足元に目を向けた瞬間、彼の身体は支えを失った。



「うわぁぁ!」

バキバキという先程よりも派手な音と共に、エリオットの身体は落下し、何度か身体を打ちながら斜面を転がった。



「い…いた…」

自分が踏み抜いたのが木の扉のようなもので、そこから落下し、階段を転がり落ちたのだということを、エリオットは外から差しこむ光によって認識した。
手に出来たすり傷には血が滲んでいる。
自分の身にふりかかった不幸を嘆きながら、エリオットがゆっくりと立ちあがった時、外から自分の名を呼ぶ声が聞こえた。




「エリオットーーー!どうかしたのか~?」

「フレイザー!ここだ!」

声を返しながら、エリオットは階段を上った。
先程踏み抜いたばかりの穴から顔を出すと、それに気付いたフレイザーがぎょっとした顔で駆け寄って来た。



「エリオット!なにがあった!?」

「何って…遺物を探してたら、ここに落ちて…」

エリオットの答える間にもフレイザーは身をかがめ、あたりを調べる。




「鍵がかかってるぞ!」

「そうなの?」

「どけ、エリオット!」

「えっ?」

フレイザーに押し退けられるようにして、エリオットはまた穴の中へ引っ込んだ。



「なんだ、こりゃ!
秘密の小部屋…隠し倉庫か?!」

フレイザーはあたりを見回しながら興奮したようにそう呟くと、ポケットから取り出した懐中電灯を手に、さらに奥へ進んで行く。




「お…おい、フレイザー…大丈夫なのか?」

エリオットの声もまるで彼の耳には入っていないように、フレイザーは振り向きもせず先へ急ぐ。
エリオットも仕方なくフレイザーの後に続いた。

少し歩くと、さらにもう一つ、鍵のかかった扉があったが、それをフレイザーは一蹴りで押し開けた。
奥の部屋は光も届かず暗く、黴臭い臭いに包まれていた。
部屋の至る所には、ほこりが堆く積もっている。
あたりを照らし続けていたフレイザーの懐中電灯が、台の上に置かれたあるものを照らし出した。