「夕人、莉花ちゃん、おはよう!」

「おはよう紅葉、いつも待たせてごめん。」

「いいよ。
これより早いのってなると、2人とも大変でしょ?」

「そうなの紅葉ちゃん!
これ以上早いとあたし死んじゃう!」

「莉花の場合は、もっと早く寝れば解決すると思うけどね。」

「早く寝ても一緒だよ。
眠いものは眠いし、目覚ましが聞こえないのも一緒!」

そんな会話をしながら、最後の関門である駅からの上り坂を歩いていく。

丘の上にある高校というのは、聞こえは良いが毎日困る。

毎朝10分以上も坂を上っているんだから、体育は免除してほしいというのがあたしの言い分なんだが、そんな事を学校側が聞いてくれるわけもない。

だが、こんな風に文句をたれていても、夕人や紅葉ちゃんが一緒なら耐えれる。

来週になれば葵も一緒だし、きっと平気になる。

もうすぐ…そう思うと、あたしの足も少しは元気になれた。

雨上がりの湿った風邪が吹く坂の上、照らす日光がまだ美しい。

雲一つないその空は、まだ水蒸気が殆ど存在していないのであった。