「莉花、絵もいいけどクッキーどう?お母さんが持ってきてくれたの。」

「ありがとう!
あたし、クッキーじゃないけど、今日はジュース買ってきた。
炭酸入ってなかったら問題ないって言ってたよね?」

「うん、炭酸じゃなかったら大丈夫。
コップ出すから待ってね。」

私は引き出しからマグカップを二つだす。

一つが私ので、もう一つが莉花のものだ。

莉花が毎日来てくれるから、お母さんが莉花用に買ってくれたのだ。

その2つに、莉花が持ってきたジュースを開けて入れて、クッキーの蓋を開けたら、描く前のお喋りタイムの始まりである。

「そういえば、明日うちのクラスに転校生が来るんだって。」

「転校生?今、高3の6月だよ。」

「そうだけど、転校生が来るらしい。
聞いた話だと男子、学級委員の紅葉ちゃんの話だから確実じゃないかな?」

「そうなんだ。
イケメンだといいね。」

「そうね、描き甲斐のあるイケメンなら大歓迎。
そうじゃなかったら何でもいいや。」

「描き甲斐のある人なら嬉しい?」

「勿論!
そして1枚でいいから描かせてくれる心の広い方を願う。」

莉花らしいと思いながら、クッキーの最後の1枚口に運ぶ。

莉花もジュースを飲みきって、ご馳走様と言うと、スケッチブックを開き、適当に取った鉛筆で私を描き始める。