主菜はゴーヤチャンプルー、副菜は、なすと玉ねぎ、トマトのサラダ、きゅうりの浅漬け、汁物は人参と玉ねぎ、じゃがいもの味噌汁となった。きゅうりの浅漬けには最後、袋に入っていた青唐辛子を適量加えた。

十分程前に炊けた白米を盛り、義雄が茶碗を渡してくる。僕はそれらをお盆に載せた。


失礼致します、と居間へ入った。お疲れと言った雅美が「楽しそうだったね」と笑う。「楽しかないよ」と僕は返す。

「今日の夕飯は、ゴーヤチャンプルーとなすと玉ねぎとトマトのサラダ、きゅうりの浅漬け、人参、玉ねぎ、じゃがいもの素朴味噌汁であります」僕は言いながら座卓へ皿を並べた。

自分の場所に腰を下ろすと、薫子が隣から「お疲れ様です」と笑顔を見せた。

「全部恭太君が作ってくれたんですか?」

「ささやかなお祝いだよ」

そんなそんな、と薫子は手を振る。「近いうちに大きな不幸に見舞われるようなお祝いです。このお味噌汁は……?」

「薫子が天地返し手伝ってくれたやつ。あと二か月くらい置きたかったんだけど、上出来だったよ」

「本当ですか。ついに恭太君のお味噌汁もいただけるんですね」

今年中にこの世に別れを告げることになっても悔いはありませんと言う薫子へ、僕と雅美、トシさんと茂さんはそれを否定する言葉で声を揃えた。もう一生ここにいたいですねと薫子は笑う。

あれっ、と雅美が声を上げた。「義雄は?」

「ああ、さっきなんか始めてた」僕が言った。

「そう」

先に食べててと言う義雄にはいよと雅美が返し、いただきますと手を合わせた。