「今日も女子の視線が痛いよ……」



澪は教室の中、ため息をつく。



「いーでしょ。ただの逆恨みだろうし」



のんきにそう言いながら、瑛梨奈は烏龍茶を飲んでいる。



「そうは言うけどさ!」



実質、厳しい。



瑛梨奈は相変わらずマイペースに笑っている。



「だって、痛いのは視線だけじゃん?澪に手ぇ出したら稚尋に嫌われるーとか思って誰も何もしてこないし」


瑛梨奈の言うとおりだ。


最近は女子の視線どころか、男子の視線も痛い。


でも、瑛梨奈がいてくれるからなんとかやっていけている。





「ありがとね、えり」



そう言って、澪は瑛梨奈に優しく微笑んだ。





「何、改まっちゃって」


瑛梨奈は烏龍茶を飲みながら、下を向いてしまった。



その頬が、ほんのり赤い。







毎日友達が側にいてくれる。



それはどれほど幸せなことだろう。




澪が瑛梨奈を見つめていると、逆に質問が返ってきた。