「友達からなら、なってあげてもいいよ……」
澪は顔を真っ赤にしながら、そう言った。
稚尋は意外な澪の返答に、一瞬目を見開いて驚いた。
しかしすぐに調子は戻る。
「うっわ、ツンデレで上から目線?さっすが姫」
「は?……あーあ、友達やめようかなー!」
「ひでー!!」
わざとらしく残念がる稚尋に、思わず笑みがこぼれる。
「嘘よ」
ずっと、私は探していたのかもしれない。
稚尋みたいな人を。
本気なんだね、稚尋も。
だから私今、こんなに気が楽なんだね。
「帰る?」
「そうだね、もう暗いし」
そう言った途端に、澪の足に伸びてきた指。
澪は瞬時にその手を振り払った。
「痛ってぇ……」
「今言ったばっかりでしょ?今どこ触った!」
まったく、本当に変わらない。
「ふともも……」
「私、先帰るから!」
「ちょっと待てって!暗いんだから、送ってく」
そう言って、稚尋は澪の腕を掴んだまま、放さなかった。
「いいって」
澪がいくら力を入れても、稚尋の手は振りほどけない。
「よくねーの、馬鹿」
澪は稚尋の後をゆっくりとついていく。
「バカじゃないもん…………」
「はいはい」
澪はそのままズルズルと稚尋に手を引かれていった。
澪の心の中にあったもやもやが消えた。
あの気持ちは何だったんだろう。そう思えるくらい、澪の心は晴れやかだった。
それがどうしてなのかはわからない。
だけど今、二人の関係は。
「姫、こっち向いて」
「え……?」
ちゅっ
「!?」
甘酸っぱい苺味。
★重なる想いは苺味
【END】