今までの恋は、全部自分からダメにした。
先を焦り過ぎたせいで、すぐに恋人を欲しがった私。
今思えば、ただ単に『彼氏』と言う肩書きが欲しかっただけかも知れない。
そのために私は何度も泣いた。
この保健室に通って、先生に泣きつきながら、何度も……何度も。
……馬鹿みたいだ。
つくづく自分が惨めになる。
今までの恋が無意味だと知った途端、何故か安堵する自分がいた。
顔がいい。性格がいい。その憧れを恋だと勘違いしてた。
ただ、それだけのことだったのだ。
「……稚尋でしょ?あんたが言ってる『素直になれない相手』てのは」
冬歌は、澪の気持ちを何でも説いて見せた。
「なっ……なな何で知ってんの!?」
やっぱり、噂が広まっていたのだろうか。最悪だ。
「あぁ、だってあたし……」
冬歌の口からは、澪の全く予期せぬ言葉が発せられた。
その答えに思わず腰を抜かすところだった。
「稚尋の義姉だもの」
澪の頭の中は一気に真っ白になる。
まるで、真っ白のペンキを零してしまったかのように、今までのことが頭の中から消え去っていった。