「……姫、聞いてる?なんか、して欲しいことは?」
「え!?……あぁ、いーよ、大丈夫」
突然稚尋に声をかけられ、澪は声が裏返ってしまった。
「そーか?なら、早く寝ろよ。熱、下がんねーじゃん」
「う……うん?」
おかしい。
どうして何もしてこないの?
別に期待してる訳ではないけれど、こんな風に態度を変えられると調子狂う。
これでは“特別”なんだと勘違いしてしまう。
「なんか、看病なれてる……?」
不思議そうに首を傾げる澪に、稚尋は言った。
「あぁ、俺の姉貴がすぐに熱出すから……慣れてんだ」
稚尋は参った、と言うように自分の髪の毛をくしゃくしゃとかき乱す。
「稚尋、お姉さんいたんだ……」
きっと稚尋に似て、美人なんだろうな。
「あぁ、まーな」
「今度見たい!!!」
澪は大きな声でそう言った。
「……はいはい、わかったから。何お前。そんなに俺に興味出た訳?」
澪が興味津々に体を起こすと、稚尋はおかしそうに笑っていた。
やっぱりいつもの稚尋だ。
「ちっ!ちがくて!ばっかじゃないの!?」