目の前に稚尋がいる。
それはとてもありえない状況だった。
どうして私の家を知ってるんだろう。
そうして謎はまた謎を呼ぶ。
「やっほ♪」
「……なんでいるの」
澪はあからさまに嫌悪に満ちた表情をする。
先日、稚尋とはもう会わないと決めたはずだ。
それなのに、稚尋から来てしまったら意味がない。
稚尋はそんな澪を気にすることなく、ニコニコしながら澪の目の前にいる。
おかしい。おかしすぎる。
「なんで……」
混乱する澪に、稚尋は笑顔で言った。
「お見舞いだよ、お見舞い」
「なんで私の家がわかったの?」
稚尋に家の場所は教えていない。
誰かが教えた?
だとしたら、暎梨奈?先生?
「超能力?」
稚尋の言葉に、澪は思わず咳込んでしまった。
「ばっ……馬鹿じゃないの!?……いいから、帰っ…………て!?」
グラリと体にかかる浮遊感。
突然、目の前の視界が歪んだ。
やっぱり、病院いけばよかった。
そんなのんきな思考が、澪の頭の中で渦巻いた。