* * *





澪は次の日、初めて学校を休んだ。



そうは言ってもずる休みではない。


単純に、風邪をひいた。



「ゴホッ……」



朝から熱が下がらなかった。



両親は共働きで家にいないため、誰も看病してくれる人はいない。


一人っ子の澪は、静かな家に一人きりだ。



「……私、ダサッ」




こんな惨めな姿、誰にも見せられない。



ため息をつくと、お腹が鳴った。

お腹がへった。




「もう、お昼か……」



かと言って、誰かが食べさせてくれる、なんてこともない。



仕方なく澪はベッドから起き上がり、母親の作り置きを食べ、またベッドに潜り込んだ。



カチカチと、時計の秒針の音だけが部屋に響く。




「ひま……」



ただ寝ているだけで、なにもすることがない。



安静にすることが一番だが、治りかけというのが一番退屈なのである。



数分寝返りを繰り返し、そのまま澪は、やっと眠りについた。