澪の首筋に、鈍い痛みが走った。
なにしてるの?
そんな事を聞く暇なんてものはなく、澪はただ、彼を押しのけようと必死になっていた。
「……見てみろよ」
ようやく離れた稚尋を少しだけ名残惜しく感じながらも、首筋に残った違和感に首を傾げた。
「……な、何よ」
ゆっくりと、澪は自身の首筋を携帯の画面でうつして見た。
「ちょっ……稚尋っ!?」
澪の首筋には、ちょうど目立つ場所に赤紫の小さな痣があった。
これは……。
「なんてものつけてるのよ!!」
紛れも無く、キスマーク。
顔を真っ赤にしながら喚く澪に、稚尋は悪びれる様子もなく笑った。
「だって……姫は俺のもんだから」
いつから稚尋のものになったのよ!!
そう叫びたかったが、その言葉はまだ残る余韻と共に飲み込んだ。
「……お前可愛いな」
稚尋はそう言って、澪からようやく視線をを外した。
「なっ!!」
稚尋と一緒にいると、私がおかしくなっちゃいそうだ…………。