先生がホイッスルを口にくわえる。




「いちについて……」


「よーい、」




ピーッ!!!




ホイッスルが鳴った。



それと同時に、生徒が一斉に走り出す。


澪の出る一回戦目は女子六人。





三十メートル先にある箱の中から、紙を取り出す。




そこに書いてあるものを借りて、一緒にゴールするのだ。



澪はビリだ。





とにかく、早く紙を!



澪は最後に残った紙切れを掴み、走りながら広げる。


そこにあった言葉は。



[ 美しい人 ]





美しい人!?



そんなっ…………。




稚尋を呼んだら絶対、後でからかわれそうだから……無理。


瑛梨奈は……美しいって言うより、可愛い部類だから。


澪はひらめいた。


「冬ちゃんだ!」



冬歌が適任だ。



冬歌には、美しいという言葉がピッタリだ。




その直後、澪は必死で冬歌を探した。


…………え……。



いない!!!