* * *
学校につくと、またいつもの生活が始まった。
相変わらず、女子の視線が痛い。
いつまで続ける気なんだろうか。
いい加減、ため息が出る。
そしてこの人も。
「よー!姫っ……久しぶり」
「うわ……!」
澪の肩にのしかかる長い腕。
そしてこの香りは……。
「稚尋!」
いつもの稚尋。
だけど今は、あの日のような真剣な彼じゃない。
ニコニコと怪しい笑顔が鼻につく、学校での稚尋の顔だ。
「なぁにー?二人して。なんか親密度上がってない?」
瑛梨奈の登場。
「そっそんなことないよ?」
慌てる澪の胸元で、胸元のイルカが揺れた。
それをすかさず見つける瑛梨奈。
「……あれ?こんなのつけてたっけ?」
探偵のように鋭い目で、澪を観察する瑛梨奈。
必死に目をそらす澪が稚尋に助けを求めると、平然と稚尋が言った。