「朝宮……れい?」



「え?」



「あっ……すみません!手帳が落ちていたもので……」


先ほどバラバラになってしまった鞄の中身から、澪の手帳が出てしまったらしい。



「いえ……あ、あたしは朝宮澪って言うんです」




「みお……さん?」



「はい」




澪が笑うと、彼女も笑った。



その笑顔は、女の澪でも、ときめいてしまうような笑顔だった。





「その制服……私立の」


「あ、はい。私、雛子と言います」


「ひなこ……さん?」


雛子は笑いながら、軽く澪に会釈した。



……なんか、お嬢様って感じ。



「それじゃあ!私、時間やばいんで!」


スクッと立ち上がり、澪は雛子にお礼を言った。



「……?」



雛子が、澪の腕を掴み、一言言った。


「……お友達になりません?」



その綺麗過ぎる笑顔に、澪の背筋に悪寒が走った。



おかしいとは思った。
けれど、雛子に見つめられ、澪は不思議な感覚に襲われた。