────二学期の始まり───
「行ってきまーす!」
今日から二学期が始まる。
走る度に、稚尋に貰ったネックレスが澪の胸元で揺れる。
あの時は、どうしてあんな事をしたのか、どうして稚尋が澪に謝ったのかは、よくわからない。
稚尋はちゃんと澪の事を考えてくれる。
それだけは伝わったから、大丈夫だと思う。
そんなことを考えていた時だった。
「わっ……!」
「あっ!」
澪は誰かとぶつかってしまった。
二人の鞄の中身がコンクリートの上に散らばる。
新学期早々、どうしてこうもついていないのだろうか。
本当嫌になる。
「あ、ごめんなさい!」
とにかく、散らばった荷物をなんとかしなくてはならない。