「……澪はずっとえりを疑うことなんてなくて……それが不思議でならなかった」



「朝宮は純粋にあんたを親友だって、思ってたんでしょ」



「……嫌いになれないなんて、油断だった……だから、失敗したんだ……」



瑛梨奈はそう言って、自分の髪の毛を掻き乱した。



綺麗なサラサラの髪型が崩れる。



「今からなら、やり直せるんじゃない?」



冬歌がそう言うと、瑛梨奈は力無く笑い、言った。




「無理だよ……」




「無理じゃないよ」




「は?」



「あたし……えりを嫌いになんてなれない」


澪はそう言って、笑った。



「だって今までずっと……えりは澪を騙してたんだよ?」



澪の顔を見ながら、瑛梨奈は驚いているように見えた。



だってね、えり。


今までずっと親友だったんだもん。


いまさら嫌いになんて、なれないよ。



「でも、いいんだよ」



今まで黙って見ていた稚尋が不意に、瑛梨奈に近づいた。



そして、そっと瑛梨奈の頭に手を置いた。



「そういう事。最後までこいつを嫌いになれなかったお前なら、俺がこいつに本気な訳、わかるだろ?」




え…………。


稚尋、今。


本気って言った?



聞き間違いなんかじゃ、ないよね……?


澪は自分の顔が真っ赤になるのが分かった。