その時だった。
「そこまで。島田。もういい加減にしなさい!あんたの負け」
「っ!……放してっ!」
また、助けられた。
「ふ……冬ちゃん」
冬歌は瑛梨奈からカッターを奪い、うしろから押さえつけていた。
カッターが地面に擦れて響く音がした。
カッターが瑛梨奈の手を離れ、地面に落ちた。
すかさず冬歌はヒールで踏み付ける。
踏み付けられたカッターは、砕け、破片が辺りに散らばった。
同時に、先程まで抵抗していた瑛梨奈の力が一気に抜けた。
ガクンッと体が崩れる。
「……っ……」
瑛梨奈は泣いていた。
「どぉしてよぉ……っ……どうして……全部上手くいかないの?」
瑛梨奈の言葉に、冬歌はため息をついた。
澪は腰が抜けて立つことが出来なかった。