「けじめ、つけなきゃな……澪を……えりなんかにいいようにさせてたまるかよ!」
分かってるじゃん。
自分のしなきゃいけないこと。
冬歌はフフッと笑みを浮かべた。
「えりちゃんも。本格的に動き出したみたいだから」
稚尋……大好きな人は、自分で守らなきゃ。
それが、自分が犯してしまった過ちなのだとしたら、尚更。
「やっぱり、あんたと朝宮……すっごくお似合い」
最近じゃあたし、稚尋が幼い少年に見えるから不思議。
きっと、稚尋をここまで変えたのは、朝宮だ。
「頑張りな?あたしは稚尋の味方だから……」
そう言って、冬歌は稚尋に笑いかけた。
朝宮を利用しちゃってるみたいで悪いけど。
稚尋には幸せになってもらわなくちゃ。
「あぁ。ありがとな、冬歌」
稚尋にお礼なんて言われたの、いつぶりだったっけ?
「頑張れ」
より一層強く稚尋に言って、冬歌は稚尋の頭を撫でた。
あたしより身長が大きくなっても、稚尋はあたしの弟だもんね。
頑張りなよ、稚尋。
稚尋に笑いかけ、冬歌は職員室へと歩き出した。
「……っし!」
稚尋は立ち上がる。
絶対に……澪を守る。
そして。
「気持ち、聞かなきゃな」
明日のために。
★姉と弟“冬歌”
【END】