ある日のホームルーム

「えー、クラスから男女三人ずつ二週間後にある老人ホームの慰問に行ってもらいたいんだか立候補いるか?福祉の方を考えてる人はいくといいけどな」

「先生~土日潰れるってことですよねー」

「まあ、一泊するからそうだな、立候補いなかったらクジで決めるぞー」

結局クジになった

「あっ、ひいちゃった」

舞衣は引いてしまった、何でこんなので当たるかな~
誠斗は二人の部活の予定を机の下で見ていた
(う~日曜午前練習で遊べる予定だったのに……)

「じゃあ6人頼むな、明日の放課後説明会あるからな、ちゃんと家族にいっておくように」

次の日の説明会にリカもいた、そして二週間後の研修日、朝から宿泊施設の掃除と老人ホームでの注意事項など話し合われた、広間に布団を敷いての雑魚寝で女子もクラスでどうしても固まる
舞衣は誠斗との電話を終えて部屋に戻り同じクラスの女子のところへ向かう

「舞衣、お帰り、園田と電話してたの?」

「うん!」

少し後ろにリカのクラスがいた

「仲いいよね、園田から告白されたの?」

「そうだよ」

「いつから付き合ってるの?同じ中学じゃないよね」

「隣の中学、二月からだよ、えっとねーなんかさ舞衣の事を探してたみたいで佐知を通じてね、えへっ」

リカは聞こえたらしく部屋から出ていった

舞衣はリカの後ろ姿を見た

「誰?今の子、舞衣の知り合い?」

「あの子誠斗の中学の時の元カノ、まだ好きみたいなのよね、誠斗が舞衣の事好きになって別れたみたいなんだー」

「仕方ないよね、人の心は変わるし」

「何~、そっちも意味深じゃん、話してよー」

三人は恋ばなに盛り上がった

次の日近くの老人ホームへ歩いて向かう
生徒は車椅子を押してみんなが集まるホールへ向かう
たまたま舞衣の後ろにリカがついてしまった
ホールの入口に少し坂のスロープがあり、リカは舞衣が前にいることに少し不機嫌だった
よそ見をした時勢い余って止まれなくて前にいた舞衣の足に車椅子が当たってしまった

「痛っ」

「あっ、ごめん」

舞衣は後ろのおじいさんに声をかけた

「大丈夫ですか?」

おじいさんは頷いていた
舞衣は押していた車椅子を止めてホールから一旦出た
舞衣が出たことに気づいた同じクラスの男子がホールから出てきた

「武田、足痛めたんだろ?」

「あっ、うん」

「当たってきたの誠斗の元カノだろ?わざと?」

「すぐ謝ったから違うと思う、そんなお年寄りをつかうことはしないと思うし、坂だったから止まれなかったんだと思うよ」

「歩ける?」

「多分大丈夫」

「先生呼んでくるな」

しばらくして先生とクラスの男子、澤田くんが来てくれた

「施設に保健室あるからそこで湿布もらいましょうね」

「肩貸すよ」

がっちりした澤田くんの体は軽々と舞衣を立たせひょいと担ぎ上げた

(これはお姫様抱っこというものでは……)

舞衣は恥ずかしくて赤くなった

「あの、歩けるよ」

「県大会近いだろ、武田も出るんだろ?」

「うん」

「無理しないほうがいいよ」

澤田くんは確かラグビー部だったかな
筋肉がすごい

「重いでしょ」

「全然軽い、誠斗じゃなくて悪いけど(笑)」

「助かります、ありがとう」

舞衣は湿布を貼ってもらいホールに戻った
ホールの行事を終えたあとみんなで食堂で昼食をとる