一目惚れ♥️だそうです

「二人とも何食べる?」

「スパゲッティーで、舞衣も同じでいい?」

「うん」

誠斗のお母さんがおばあちゃんの耳元で話す

「おばあちゃん、スパゲッティー2つ」

おばあちゃんは立ってスパゲッティーを作り始めた

「耳がもうほとんど聴こえなくてね、注文がはいったら作るんだ、認知もはじまってるけどお客さんの顔みるのが楽しいみたいであえて手伝わせてる」

「ばあちゃんの楽しみだからね」

「母さんはほとんどここにいるかな」

「そうね、兄ちゃんが結婚してから家のことはお嫁さんに任せてるのよ、家に誠斗とお父さんの夕食を作っておいてもらうの」

「誠斗が離れに住んでるのはおじいちゃんとおばあちゃんが住んでたの?」

「そう」

「で、おじいちゃんとおばあちゃんはどこに住んでるの?」

「ここの隣に高齢者の住居があるんだよ、おばあちゃんが夜時々徘徊するから隣に二人で住んでるんだ、ちゃんと見廻りもしてくれて夜も人がいるから安心だよ」

「家を空き家にするなら住んだほうがいいから俺が住みだしたんだ、巻き藁もすぐ近くだし射てるしね、じいちゃんが弓道してたんだよ」

「そうだったんだ」

「はい、お待たせしました」

「いただきます……おいしい」

舞衣はおばあちゃんの前で大きな丸を作った
おばあちゃんは、にこっとわらってくれた

「誠斗と彼女の舞衣ちゃんよ」

おばあちゃんはうんうんと頷いた

「誠斗のことはあまり記憶がないんだよな」

おじいちゃんが話しかけてきた

「そうなんですか?」

「兄ちゃんは覚えてるんだけどね、やっぱり、初孫だからかな」

「だろうね、兄ちゃんも仕事で外でたら昼食べにくるわよ」

「常連客を見てるのが楽しいみたいだよ」

舞衣はおばあちゃんの前で両手を合わせた

「ごちそうさまでした」

「また、おいで」

理解できたようだった
二人は喫茶店を後にした

「今度きたらもう忘れてるけど気にしないで」

「わかった」

「俺の家行く?」

「うん!」

誠斗の家につくと奥で音がしていた

「兄貴が射ってる」

巻き藁の前で誠斗の兄が矢を射っていた

「久しぶりに見た、兄貴の射ってるところ」

「やあ、舞衣ちゃんいらっしゃい」

「お邪魔します、お兄さんもやってたんですね」

「一応ね、じいちゃんに教えてもらって」

「珍しいね」

「うーん、まあちょっと集中したくて」