門の前に車が止まった
佐知はドアを開ける

「こんにちは」

「ごめんね寒かった?」

佐知は信也の松葉杖を持ってお尻から車に乗せるように手を繋いだ

「ありがとう」

「さっちゃんも乗ってね」

「あっ、はい」

二人を乗せて車はケーキ屋へ

「少し待っててね」

車の中で二人になる

「さっちゃん、マフラー外していい?せっかく巻いてくれたけど車の中暑くて」

「いいよ、外そっか?こっち向ける?」
信也は体を横向けて頭を下げた
佐知はマフラーを外す

「バッグに入れておくね、あたしも暑くなっちゃった」

佐知の家に到着した

「信ちゃん聞いたわよ、怪我大丈夫?」

「大丈夫じゃないです(笑)今度は治ってからお邪魔します」

「いつでも来て」

「はい」

四人は懐かしい話を長々と続けていた

「信ちゃん、ソファーに座ったら、しんどいでしょ」

「ソファーより直に座りたい、足を伸ばしたいんだ」

「じゃあ佐知の部屋に行きなさいよ、絨毯だから」

「えー女子高生の部屋に普通親が行けって言う?」

「だってフローリングは冷たいでしょ」

「もう、仕方ないなあ、そんなに片付いてないよ」

松葉杖を信也に渡す

「階段大丈夫なの?」

「うん、その為の杖だからね」

佐知の部屋に入る

「一度ベッドに座らせて」

「うん」

ベッドに座ってからズルズルと床にずり落ちる

「はあ、しんど」

「1ヶ月くらい?」

「うん、正月明けてからギプスとる」

「どこも行けないね」

「めっちゃ退屈、さっちゃんが遊びに来て」

「何で?」

「みんな部活じゃん、さっちゃん部活入ってないんだろ?」

「入ってない……」

「来週は母さん夜勤にまた入るからさ、今週は事情言って夜勤外してもらってる」

「お父さんは?」

「単身赴任中、だから俺寂しいの、ねっ遊ぼ」

「軽い」

「えー、ただ遊ぼっていってるだけじゃん」

「何か今の信ちゃんの遊ぼはいやらしい」

「いやらしいって想像するほうがいやらしいし」

「そんなことないもん、だって実際軽いんでしょ安西くんが言ってたもん」

「たまの部活休みの時にたまにだよ、遊ぶだけ」

「それが軽いって、ナンパするんでしょ」

「するけどその時だけだし、本気じゃないし、でも保がもう遊んでくれないからさ、さっちゃん遊ぼっていってんの、それとも哲也のほうがタイプ?」

「あれは本当に映画いっただけ」

「さっちゃんだってそれは一緒じゃん付き合ってないのに二人でいくなんて、俺は映画なんて二人ではいかないもん」

「それは……」

「哲也と映画いけるんなら俺とも映画行ってよ、冬休み」

「杖ついてあの階段はきついよ、人も多いし」