誠斗は走って体育館を出ていった
鶴原の応援も誠斗の方を見てシーンと静まっていたが、誰かのリード声援でまた応援を始める
プレイが再開された、意外なことに笑って力の抜けた先輩の活躍で勝利をおさめた
観客席に戻った舞衣はみんなに冷やかされたが笑顔だった

(あと2つでベスト4か、勝ちたい……)

弓道場
「ハアハア、間に合った?」

「誠斗、わかっててもヒヤヒヤしたぞ」

「悪い……ハアハア」

「大丈夫か?」

「大丈夫、まだ待機時間が少しある、その間に息を整えるから、ふう、大丈夫、大丈夫」

大丈夫は誠斗の集中できる言葉だ

「以上で審査会を終わります、結果はもう少しお待ち下さい」

10分後掲示板に結果が張り出された
鶴原の部員は無事全員合格した

(ふう、よかった)

誠斗は携帯を見た
さっきの試合は勝ったんだ
どうしようか……みんなと帰るか、舞衣の試合をみるか

‘今終わりました’

‘これから三位決定戦よ’

‘見たいです、帰り一緒にいいですか?’

‘いいわよ’

鶴原は学校のバスで来ていたので、先生に親と帰りますと告げ、急いで体育館にいく

「お疲れ様、合格した?」

「はい」

「一セットずつとって最終セットよ」

「接戦ですね」

「舞衣らのほうが接戦続きで体力がもう限界ね」

「そうですね、足がしんどそうです」

「舞衣も高校入って太ったからね、体が重いと思うわ」

「確かに太りましたけど運動するからダイエットは駄目とは言ってるんです」

「ダイエットまではしなくてもいいけど走り込みは必要よね、あー、もう肩で息してるから限界ね、これからの舞衣の課題ね」

舞衣は接戦の末敗退した

「誠斗くん、駐車場で待ってましょ」

「はい」

閉会式と後片付けなどで一時間ほど車で待機していた
車で待っている間、母親と話す

「誠斗くんは将来のこと考えてるの?懇談会で進路聞かれたでしょう?」

「そうですね、まあ成績次第ですかね」

「それは大学を考えてるの?実業団が一つあるわよね」

「さすがお母さん、よくご存じで(笑)舞衣は知らないと思いますよ」

「あの子は弓道のことは全く知らないからね」

「はい、でもいいです、自分のこともあるので……12月に弓道は新人戦なんですよ、その前にまたこれから朝練、延長練習あると思うのでそれ次第で俺は少し考えてることはあります、まだ内緒です(笑)」