「小さいあざにしかみえない(笑)舞衣にもっとつけよう」

「誠斗のものっていうしるしね(笑)アハハっ、こそばいよー」

二人はじゃれあった

「離れたくないよー」

「うん、そうだな、それには俺が結果を出さないと」

「ん?何で?」

「お父さんに認めてもらわないとな」

「充分気に入られてるよ」

「それは確かに、でもやっぱり……うん、ちょっと国体頑張るよ」

「無理して故障しないでよ」

「ああ」

国体が近付いてきた、誠斗はフォームもやっと落ち着いてきて調子も上がってきていた
部活帰り

「国体見に行きたいなあ」

「お父さんに聞いてみれば?」

「お父さんは行くんだよね、コーチに入ってるから」

「うん、合宿は来てたけど、この間の強化練習にきて正式にコーチ就任だった」

「私もまさかと思ってびっくりした(笑)」

夜、父親が帰ってくる

「お父さん、国体見に行きたい、学校休んだら駄目かなあ」

「誠斗くんは金曜から休むが大会は土曜日だから学校はまあ金曜の夜でれば大丈夫だが舞衣も新人戦近いんじゃないのか?三日練習休むことになるぞ」

「大会は国体終わって二週間後だから練習試合もはいらないし、体も休める」

「お母さんも行くかい?」

「そうね行きましょうか」

「わーい、やったー」

「ホテルはとっておくよ、金曜の夜に新幹線できなさい」

10月の三連休で行われた国体、少年の部近的、遠的団体メンバーに選ばれた
ピシッっという弦音の音が会場に響く、パアーンと的に当たる音の気持ちよさはなんともいえない
舞衣も初めて誠斗の大会を見て会場の静けさと音、誠斗が的前に出てきてからの一連の動作に自分も緊張し、両手を握りしめて祈った

四射パアーンと当てて見事皆中、会場からは大きな拍手があがった 
ルールも知らない舞衣は周りに合わせて拍手した

「順番に射っていくんだね」

母親に小声で聞く

「一度出ましょうか」

女子の順番になったので一度母親と観覧席から出た

「誠斗すごかったよね、お母さん」

「うん男子は力強くて音もいいわね」

「まだあるの?」

「あと四回射つわよ、今日は近的で明日が遠的の予選ね」

「頑張って欲しいな~」

「決勝トーナメントに出れなかったら月曜に帰るわよ」

日程を見ながら母親は言った

「わかったよー」

二回目も誠斗は皆中、三人の合計で近的は決勝トーナメントに進出した