始業式の朝、舞衣は玄関に出た
誠斗はすでに待っていた

「おはよう、ま……こと?」

「おはよう舞衣」

誠斗の頭は坊主頭になっていた

「どうしたの、頭」

「今日から心機一転」

「なんで心機一転で坊主なの?」

「やっぱ、男のけじめは坊主かなーと、行こう」

「うん、びっくりしたー」

「だろうね」

「この間さっさと帰ったから心配したんだよ」

「まだ本調子じゃなかったし、舞衣にうつしてもいけないから」

「さみしかったんだから」

誠斗の腕を組む

「ねえ、キスして」

チュッ、誠斗はいつも通りしてくれた
舞衣は涙が出てくる

「嬉しい、ありがとう」

二人は駅に向かう
いつも同じ時間に乗る人達は誠斗をジロジロ見ていた
誠斗は気にせずいつもの車両に乗る

「舞衣も目立ってごめんな」

「ううん、誠斗はかっこいいから髪型なんて関係ないよ」

舞衣は笑顔で答えた
教室に入るとみんな誠斗を囲んだ

「誠斗~なんだよ、今時、野球部でも坊主じゃないぞ」

「(笑)だよな」

佐知と哲也、一本遅い電車組が教室に入ってくる

「おーす、何だか賑やかだな」

「おーす、誠斗がさー」

「誠斗、俺より短いじゃんか」

「そりゃ坊主だからな、哲也は角刈りだろ(笑)」

「そうだけど、まあ暑いし短いのはいいぞ(笑)」

「だな」

普通に話してる、二人とも話づらいはずなのに……
私がそうさせちゃった

「舞衣、おはよ」

「おはよう佐知」

「心境の変化?」

「今日まで会ってくれなかったの……でも朝迎えにきてくれて、心機一転だって言ってる、私が坊主にさせちゃったもんだよね」

「そう思うなら園田のこと大事にしなきゃね」

「うん、澤田くんも普通に話してくれてる」

「お互い思うところがあるんだよ」

放課後、哲也と誠斗は教室にいた

「この間は無視してごめん」

「いや、俺のほうこそ、誠斗いるのわかってるのに何も言えなかった、誤解するような行動とったのは事実だし」

「舞衣は哲也とは楽に話せるみたいで俺も嫉妬してたんだ、哲也は舞衣のこと好きだと思ったから……違うか?」

「確かに武田見てると可愛くてハムスターみたいって思うんだよ、好きかって言われると実はよくわからないんだ自分の気持ちが……この間から俺も考えたんだけどな、武田には誠斗がいる、俺は二人を引き離したくはない、武田はかわいいけど誠斗といるときの笑顔が一番可愛いかもって思ったんだよな、誠斗が武田を離して帰ったからあの後武田は大泣きしてな、なぐさめたけど俺じゃだめなんだよ」