「でも、私澤田くんとこのままじゃ話せないでしょ、これから行事もあるのに、誠斗も澤田くん無視したし」

「二学期になったら謝る」

「そう」

「俺、頼りない?器の小さい男だと今回は自分で思ったよ」

「ううん、頼りなくないよ、この間はねリカとプールに行ったの、そしたら知らない大人の人にナンパされてリカが上手くかわして二人で遊んでたんだけど、ずっと見てたみたいでまた声掛けてきたの、そこへ澤田くん達ラグビー部が助けてくれて一緒に遊ぶことになったの、それでプールの後カラオケ行くことになって、そしたら安西くんて子がリカと抜けちゃったの、二人で……それで澤田くんが私を送ってくれることになったの」

「リカは?」

「その……安西くんの家に行って泊まったらしい、付き合うことになったって」

「そいつは大丈夫なのか?」

「最初は付き合ってみる?って軽く言われたらしいんだけど今はちゃんと好きって言ってくれるらしい」

「身体が目的じゃないか?」

「私もそれは思ったけどその、エッチして好きになることもあるからそれは二人の問題で……勢いで付き合っちゃったとはリカも自覚はしてるので、もしそうでも後悔はしないと思う」

「それならいいけど……」

「だからどうして澤田くんと帰ることになったのかを誠斗に説明したかったの」

「もう、いいよ」

二人はしばらく沈黙が続いた
だめだ、何言っても言い訳にしか聞こえないよね、もう澤田くんのことはふれないほうがいいのかも……

「暑い、帰る」

誠斗は立ち上がった

「帰るの?」

「うん」

「部活休むんでしょ?今度いつ会える?」

「始業式まで会わない」

「えっ」

「宿題が終わらないんだよ、始業式の朝に迎えには行くから、じゃあ送れないけど気をつけて」

誠斗はスタスタと帰ってしまった
いつもなら絶対家まで送ってくれたのに
なんで……でも嫌なら昨日言ってるはずだよね
やっぱり言い訳したのが機嫌を損ねたのかな……誠斗……
舞衣はベンチで一人で泣いた

「ただいま」

「おかえり、どしたの?」

「公園で少し話したけど帰るって、宿題あるからっていつもなら送ってくれるのに……まだ怒ってるのかな、始業式まで会わないって」

「いいんじゃない?宿題は大事だし、休み明けにはテストあるんでしょ、舞衣だって勉強しなきゃ、高校生にとっては大事なことよ、誠斗くんは合宿二つもあったんだから当然よ、始業式に来てくれるって言ったんなら大人しく舞衣も勉強しなさい」

「はい」