「ただいま」

「あっ帰ってきた」

「お帰りなさい、誠斗くんには会えた?」

「ああ、練習してなくて部屋のほうにお邪魔させてもらったよ」

「練習してないって……誠斗、私とケンカしてるから体調悪かったの?」

「体調は大丈夫だったけど左手の豆がすごく裂けてて弓を持てない状態だったよ」

「えっ、それはどうして?」

「練習のしすぎだ」

「肩治ってきたって言ってたよ」

「肩は確かに練習減らしたし、でも治ってもそれを取り戻そうと思ってまた、練習してしまったんだろうね、お盆前の大会の結果が良くなかっただろ?」

「うん」

「あっ、電話は電源切ってるらしい」

「なんで?」

「冷静になりたいそうだ」

「意味わかんない」

「舞衣が話してくれないなら別れたいっていうことも伝えたよ」

「そしたら?」

「自分が舞衣に一目惚れして彼女を振ってしまったから舞衣がその男の子を好きになって別れるって言うなら仕方ないって」

「別に澤田くんが好きなんて言ってないし……」

「じゃあ、別れるなんて言うな!」

「お父さん……」

「だって……何で他の子と遊んじゃいけないのよ、友達だしいいじゃん」

「別に遊ぶなとは言わん、だが今のお前は誠斗くんが何でも言うこと聞いてくれるからって、自分が優位にたちすぎてる」

「誠斗は優しいもん、舞衣の言うこと聞いてくれるのは事実だもん、舞衣のこと好きなんだもん……ぐすっ」

「じゃあ合宿終わるまで待ってろ、風呂入ってくる」

「えーん、お母さん」

舞衣はお母さんに泣きついた

「昨日さっちゃんにも話したんだよね」

「ぐすっ、うん」

「さっちゃんは何ていってた?」

「……舞衣が悪いって……」

「お母さんも言ったよね、合宿終わったら誠斗くんに謝ろうね」

「遊んだこと?」

「お父さんに別れるって言ったこと」

「佐知にも言っちゃった」

「後悔するよ、誠斗くんのこと嫌いならいいけど」

「好き」

「じゃあ、そんな言葉簡単に使うものじゃないわよ」

「うん……」

舞衣は部屋に上がった
誠斗、私の事嫌になったかなー
あと一日待とう……舞衣は涙を拭った

リカの電話が鳴る

「リカ、出るなよ、チュッ」 

「ん~待って」

佐知?

「ちょっと珍しい子からだから待って、出る、もしもし」

「リカ、私」

「どうしたの?」

「おとといのプールの日、なんで舞衣と一緒に帰らなかったの?」

「えーと、彼氏が出来て途中で抜けちゃった」

「何してんのよ、全く~」