公園に着くと一人の男子が立っていた

「園田～、舞衣連れてきたよ」

「園田誠斗です」

頭を下げた

「武田舞衣です」

つられて私も頭を下げる

三人は佐知を真ん中にしてベンチに座った

「さて、会ったわけだけど、園田はどこで舞衣を知ったの？」

「7月の県総体なんだ」

「ん？西中ってバドミントン部ないよね」

「うん、バドミントンじゃなくて俺は弓道を個人でやっててね、場所が県武道館だったんだよ」

「舞衣、武道館だった？」

舞衣は頷(うなず)いた

「大会終わって親に連絡して待ってる間に体育館を覗いたんだよ、二階から観てたら体が小さいのに上手い子が目に入ってきて……その一生懸命プレーしてるのとペアに対して笑顔で励ましてる姿にその……ひ、一目惚れして……」

佐知は園田を思わず見た
誠斗は真っ赤になっていた

(これはもう私はいないほうが……)
「えっと、私はもう会わせたから帰るね、後は二人で話して」

「佐知……」

舞衣に服を引っ張られて佐知は立ったまま話し出す
舞衣も真っ赤になっていた

「えーと、あっ、今一月だよ、今まで誰かに聞かなかったの？」

「プレーしてる時にゼッケンしてあって北中は見えたんだけど名前まで見えなくて北中の友達にも聞いたよ、でもバドミントン部で小さい子って何人もいるって言われて」

「確かに舞衣らは多かったよね20人近くいたっけ」

「三年は16人、二年生が10人、一年生が12人」

「まあ、確かに舞衣はかわいいけどあまり男子と話さないからな～」

「知らないからさ、同じ学年じゃない可能性もあったことだし、小さくて、可愛くて、髪くくってるって言ったら絞れないっていわれたし、あまり聞くと冷やかされてさ、少し諦めかけてたところにクラス会の話がでたから何か聞けるかなと思ってたら鈴木のアイコンで見つけたからびっくりした」

「だって～舞衣、もう二人で話しなよ、あたし帰るよ」

佐知は今度は舞衣につかまらないように帰っていった

「佐知ー」

舞衣は恥ずかしくて下を向いていた
二人で沈黙が続く……
誠斗が切り出した

「あの、急にごめん、迷惑じゃなければ連絡先交換してもらってもいいかな？」

「迷惑ではないよ、ただ、本当慣れるまで上手く話せなくて、恥ずかしくて……」

(か、かわいいんだけど……)

「メールとか電話してもいい？俺のこと知ってほしいし」

「あっうん、でも邪魔にならない？受験もあるのに」

「こっちこそ受験前にごめん、俺はやっと武田さんと会えたから安心して勉強できる(笑)、俺も邪魔になってたら遠慮なく今は勉強中だからって言って構わないから」

「わかった」
(優しそう……格好いい)

「武田さんはどこ受けるの？」

「鶴原の推薦を一応バドミントンで……」

「うそ！俺も鶴原の推薦だよ、あそこ弓道部強いんだ～、知ってる先輩もいてさ」

「偶然だね(笑)」

「うん、来月だね、嬉しいな」

「私、そろそろ帰るね、親に何も言わずに出てきたから」

「家まで送るよ、もう少し話したい、大丈夫かな？」

「ありがとう」

二人は少し距離をあけて舞衣の家まで歩いた