そんな二人と、それを見守る悦子を見ながら妹尾は思った。ケンには、せめて恋人の手作りサンドイッチを食べさせてあげよう。その位の慈悲は持ち合わせている。井口母娘に別れを告げることもなく、あの世に行ってもらうのはそれからでも遅くないだろう。
「さぁ、ケンさんも妹尾さんも。コーヒー淹れたからゆっくり飲んで。気を付けて行ってらっしゃい」
「釣った魚、わたしが気合入れて神様に献上するからね!」