勇也はなんでも朱美に話していた。
 勇也にとって、朱美は居心地のいい親友だ。だが、時々厄介なことに、朱美は美少女の皮を被ったお節介なオバサンになるのだ。
 昔の勇也は極端に物怖じする性格だった。
 けれど、朱美は勇也の性格などお構いなしに手を差し伸べてきた。
 勇也がその手を無視すると、朱美は勝手に握ってきた。
 朱美はそういう女性なのだ。
(朱美ちゃんが相手なら、さすがのアイツも根負けするかも)
 康平の話をするたび、朱美が興味を持っているのを感じていた。朱美は保護欲をそそる動物に弱いのだ。
 そうして、まだ友達でもない康平に朱美を紹介した。
 そして気づいた
(康平って、朱美ちゃんの好みにピッタリ嵌るんじゃ……)
 勇也の感は的中した。
 そうして、高校一年の夏休み中、企み通りに康平を勇也だけの被写体にすることに成功し、親友にまでなった。無理やり勇也が親友宣言をし、康平が根負けしたのが正しいのだが……。