『康平? どうした康平? もしかして本気で心配してくれた? やっぱりお前っていいヤツだよなぁ』
幼い子向けの勇也の口調に、康平は深々と息を吐いた。
(ダメだ。どうやってもコイツには敵わねぇーわ)
「相変わらず能天気なお前に愛想を尽かしかけたんだよ」
『これでも色々悩めるお年頃なんだけど。そんなことはどうでもよくて。あのさ、今から遊びに行っていい?』
一番願っていたことがあっさりと叶いかけて、康平は動揺した。
勇也の気まぐれはいつものことだ。
撮影帰りや撮影前に康平のマンションに寄ることも多い。断りもなく泊まりにくることもある。
「いいけど、食べるもんなんにもないぜ?」
『そうか。食料が尽きるほど引きこもってたのか』
図星をさされ、康平は頬を熱くした。
『食いもん一つない男の部屋に行くのって、なんかなぁ~』
「だったら来るな」
『菓子持ってくよ。けど、菓子はすぐに腹が減るんだよなぁ。サイゴは美味いもん食いたかったんだけど』
「最後?」
『そうだ。だったら、康平は責任持って朱美ちゃんを誘うこと。あと、食料がまったくないって必ず泣きつけよ。そしたら、一気に冷蔵庫が潤うからさ。心配した朱美ちゃんがしばらく通ってくれるオマケ付きだ。誘いにくかったら、僕の命令だって伝えていいよ』
話をはぐらかしたかと思えば、ハイテンションに一番面倒で実は望んでいた提案をする勇也に、康平は苦笑した。
「お前が電話しろよ」
『ヤダよ。康平がどんな風に頼んできたか、後で朱美ちゃんに訊いて、一緒になって康平をからかうんだから』
「時々思うけど、お前、相当のサドだろ?」
『だって、康平の反応が可愛くてたまんないんだもん』
「気色悪い声をだすな!」
『頑張りを褒めろ』
「絶対に褒めねぇ。で……その……頼むのは努力はする」
『大丈夫だよ。今日、朱美ちゃん暇なはずだからさ』
勇也は康平と朱美のスケジュールを完璧に掴んでいる。
勇也が言うのなら、急用でも入らないかぎりその通りだろう。
『じゃあ、今から行くね』
「おいっ、ちょっと待て!!」
通話は一方的に切られた。
幼い子向けの勇也の口調に、康平は深々と息を吐いた。
(ダメだ。どうやってもコイツには敵わねぇーわ)
「相変わらず能天気なお前に愛想を尽かしかけたんだよ」
『これでも色々悩めるお年頃なんだけど。そんなことはどうでもよくて。あのさ、今から遊びに行っていい?』
一番願っていたことがあっさりと叶いかけて、康平は動揺した。
勇也の気まぐれはいつものことだ。
撮影帰りや撮影前に康平のマンションに寄ることも多い。断りもなく泊まりにくることもある。
「いいけど、食べるもんなんにもないぜ?」
『そうか。食料が尽きるほど引きこもってたのか』
図星をさされ、康平は頬を熱くした。
『食いもん一つない男の部屋に行くのって、なんかなぁ~』
「だったら来るな」
『菓子持ってくよ。けど、菓子はすぐに腹が減るんだよなぁ。サイゴは美味いもん食いたかったんだけど』
「最後?」
『そうだ。だったら、康平は責任持って朱美ちゃんを誘うこと。あと、食料がまったくないって必ず泣きつけよ。そしたら、一気に冷蔵庫が潤うからさ。心配した朱美ちゃんがしばらく通ってくれるオマケ付きだ。誘いにくかったら、僕の命令だって伝えていいよ』
話をはぐらかしたかと思えば、ハイテンションに一番面倒で実は望んでいた提案をする勇也に、康平は苦笑した。
「お前が電話しろよ」
『ヤダよ。康平がどんな風に頼んできたか、後で朱美ちゃんに訊いて、一緒になって康平をからかうんだから』
「時々思うけど、お前、相当のサドだろ?」
『だって、康平の反応が可愛くてたまんないんだもん』
「気色悪い声をだすな!」
『頑張りを褒めろ』
「絶対に褒めねぇ。で……その……頼むのは努力はする」
『大丈夫だよ。今日、朱美ちゃん暇なはずだからさ』
勇也は康平と朱美のスケジュールを完璧に掴んでいる。
勇也が言うのなら、急用でも入らないかぎりその通りだろう。
『じゃあ、今から行くね』
「おいっ、ちょっと待て!!」
通話は一方的に切られた。