二人は公民館で行われた通夜に参列した。
 勇也は棺の中、満ち足りた顔で眠っていた。
 康平は前の人に倣い、勇也の顔の横に白い菊の花を一輪添えた。
(なんだよコイツ。なんでこんな満ち足りた顔で眠ってるんだよ)
「起きろよ勇也」
 そっとかけた声は掠れた。
 勇也は満ち足りた表情のままだ。
「何寝てんだよ。遊ぼうぜ」
 掠れ声が涙声へと変わっていく。
 康平は勇也の頬に手の平を添えた。
 そして、体温が感じられない白い顔に微笑んだ。
「俺、まだ課題残っててさぁ。手伝ってくれるよな」
 もう片方の手も、勇也に頬に添えた。
 自分の体温を感じてほしい。
 自分の温もりがすべて勇也のものになれば、勇也が蘇る気がした。