毎日、康平は枯渇していた。
 心がカラカラだった。
 胸に何もないことが、ただただつらかった。
 希望があれば、生きる方向が定まるだろう。
 けれど、康平には何もなかった。
 だから、毎日をとても長く苦痛に感じていた。
 気を緩めると、涙腺まで緩む。
 康平はうつむいて歩き続けた。
 ただただ、今の状態から抜けだしたかった。
 けれど、方法がわからなかった。
(もういいや)
 康平が考えることを放棄した。
 そのときだった。
「あっ、康平! お前、今日学校サボッたな」
 誰かが馴れ馴れしく康平に声をかけた。
 聞き覚えのある声に、康平は苛立ちながら顔を上げた。
 視界に迫る勇也の顔に、康平は思わず体を引いた。