勇也は朱美が持ってきた大きな買い物袋二つをキッチン用テーブルに置き、通常サイズのタオルを勇也に使い尽くした康平は、残っていた最後のバスタオルを朱美に渡した。
「途中で迎えに来てもらおうと何度も電話したのに、どうして二人とも出なかったの? 荷物は重いし結構濡れたんだからね」
 白のTシャツに淡いカーキーのワンピースを着た朱美は、頬を膨らませた。
「しまった!」
 康平はベッドへと走ると、ケータイを持って戻ってきた。
「充電切れてた」
「最悪」
 朱美は声のトーンを下げて呆れると、
「で、勇くんは?」
 勇也へと視線を向けた。
「僕は……」
 言葉を濁す勇也の肩に、康平が腕をまわした。
「ケータイ持ってないんだと」
「康平!」
「しかも、カメラも」
「ええっ!」
 朱美が目を見開き、甲高い声を上げた。