「気持ち悪いからやめろ。おいっ、コーヒーが零れるっ」
「ねえねえ、似たようなセリフ、朱美ちゃんに言いなよ。今までどうしようもなかった子が、そんな頼り甲斐のある言葉を吐いたら……きっと爆笑されるよ」
「全然ダメじゃん」
 間髪入れずにツッコミを入れた康平に、勇也は爆笑した。
「ダメじゃないって、必ず喜ぶよ。僕が保証する」
「お前の保証が一番信用出来ねぇんだよ」
「朱美ちゃんは信用してくれてるけどなぁ~」
 勇也が口を尖らした。
 その時、インターフォンが鳴った。
「朱美ちゃんだ」
 勇也は即座にマグカップを置くと、立ち上がろうとした康平を押しのけ、ドアへと駆けた。