倉庫を開けないといけなかった。ツトムが鍵を持っている。しかし、平日の放課後に、職員室に行って、「じゃあこの鍵もらってきますね」とはいかないのも分かっていた。私の件があってから、みんな、あの倉庫のことを気に掛けていた。
 土日になんとかなる、と鈴鹿先輩は主張して、行き当たりばったりに土日出かけて、「職員室自体が閉まっていた」と肩を落として帰ってきた。馬鹿だ。
 人の少ない休日に、先生が誰もいない職員室に入って、鍵を取ってくる――それほど簡単なことではなかった。