ホワイトの為に木陰を作った2人は、近くに洞窟を見つけてそこで小枝を拾っていた。


「どうして洞窟の中には枝が落ちてるの?」


「洞窟の中に巣を作る動物たちが、落としていくんだ」


湖で傷痕を洗い薬草をぬって、その上からローズのドレスの切れ端を巻いたアリムが答える。


「危ない動物?」


「いや、そこまで危険じゃないよ。夜行性で、火を焚いていれば近寄ってこないのがほとんどだ」


「そうなの」


ローズは、右手に小枝を抱きかかえながら、チラチラとアリムを盗み見る。


さっきからアリムの唇の感覚が蘇って、小指で自分の唇に触れた。


暖かな感触。


『俺は、案外お前の事好きかもな』


ぶっきらぼうな告白。


だけど、何年もの間塔に1人ぼっちだったローズには、心の中が暖かくなる言葉だった。


「ねぇ」


ローズは手を休め、アリムに近づいた。


「なんだよ」


少し妖艶なそのほほ笑みに、アリムも手を止めてローズを見た。