店の客がひいたのは閉店時間を1時間もすぎてからだった。


昼過ぎに店にもどったサリエは目を丸くし、大急ぎで店の手伝いをしてくれた。


「もう、くたくたよ」


外は暗くなり、ローズはカウンター内で大きくため息を吐き出した。


「すごい売り上げ。今まで見たことないわ」


サリエが今日の売上金を確認して、《信じられない》というように首を左右に振った。


「これも、アリムのおかげね」


「そんなにいい兄だとは今まで気づかなかったわ」


そう言って2人して笑ったとき、再び店のドアが開いた。


「ごめんなさい、もう閉店――」


と、いいかけてローズは口を閉じた。


そこ立っていたのは客ではなく、アリム。


その横に久しぶりに見る母親の顔。


そして、後ろには元国王と魔女の姿まであったのだ。