「メニューに触れたら、そのパンケーキを頭に思い浮かべてね」
水月くんに言われた通り、美紀さんが手と思われる靄の一部を伸ばしてメニューに乗っけた。
メニューは淡い黄金の光を放ち、明滅して静かに収まる。磯部さんはその様を食い入るように見ていた。
美紀さんから受け取ったメニューを水月くんはその場で開く。
私は那岐さんと同時に【雪溶けのスフレパンケーキ】の文字に指を乗せた。
途端に、滝のように流れ込んでくる、記憶――。
『これ、私の知ってるパンケーキと違う!』
赤いチェックのランチョンマットがテーブルに敷かれ、蜂蜜の容器もミルクポットもシュガーポットも、小物のどれをとっても西洋のお姫様気分を味わえる店内。
そこで向き合うようにして座っている女性ふたりを私と那岐さんは遠目に眺めていた。
水月くんに言われた通り、美紀さんが手と思われる靄の一部を伸ばしてメニューに乗っけた。
メニューは淡い黄金の光を放ち、明滅して静かに収まる。磯部さんはその様を食い入るように見ていた。
美紀さんから受け取ったメニューを水月くんはその場で開く。
私は那岐さんと同時に【雪溶けのスフレパンケーキ】の文字に指を乗せた。
途端に、滝のように流れ込んでくる、記憶――。
『これ、私の知ってるパンケーキと違う!』
赤いチェックのランチョンマットがテーブルに敷かれ、蜂蜜の容器もミルクポットもシュガーポットも、小物のどれをとっても西洋のお姫様気分を味わえる店内。
そこで向き合うようにして座っている女性ふたりを私と那岐さんは遠目に眺めていた。