「私が美紀さんの友達っていうのは、嘘なんです」
「――え、ならどうして美紀のことを……」
「信じられないとは思いますが、美紀さんがそばにいるって言ったら……その、信じてくれますか?」
私の言いたいことに気付いたらしい磯部さんは、静かに席を立って出口に向かう。
遠ざかる背中に「磯部さん!」と声をかけて呼び止めれば、彼はこちらを振り返らずに肩を震わせた。
「どこで俺や美紀のことを調べたんです? そうやって、金でもせびるつもりですか」
「……疑いたい気持ちはわかります。私も……最初は半信半疑だったから」
自分の話が磯部さんを引き留めるきっかけになるかはわからないが、思いを届けられない美紀さんは私たちしか頼れないのだ。
私たちが諦めたら、会いに行かないといけない人がいると必死に訴えていた美紀さんは愛する人と話せる唯一の機会が費える。 そんな絶望、味わわせてはいけない。
「――え、ならどうして美紀のことを……」
「信じられないとは思いますが、美紀さんがそばにいるって言ったら……その、信じてくれますか?」
私の言いたいことに気付いたらしい磯部さんは、静かに席を立って出口に向かう。
遠ざかる背中に「磯部さん!」と声をかけて呼び止めれば、彼はこちらを振り返らずに肩を震わせた。
「どこで俺や美紀のことを調べたんです? そうやって、金でもせびるつもりですか」
「……疑いたい気持ちはわかります。私も……最初は半信半疑だったから」
自分の話が磯部さんを引き留めるきっかけになるかはわからないが、思いを届けられない美紀さんは私たちしか頼れないのだ。
私たちが諦めたら、会いに行かないといけない人がいると必死に訴えていた美紀さんは愛する人と話せる唯一の機会が費える。 そんな絶望、味わわせてはいけない。