『東京にふたりで済んでたマンションがあります。事故から三か月ほど経ってますが、もしかしたらまだそこに住んでるかも……』
「美紀さん、本当ですか!」
私が声を上げると、水月くんが「美紀さんはなんて?」と声をかけてくる。
「東京に、一緒に暮らしてたマンションがあるって」
「……いや、誠はこの東出雲町に来ているようだぞ? どうやら、美紀の父君と母君のところへ行っていたらしいのう。理由は……本人から直接聞くとよい」
オオちゃんには誠さんが出雲町に来ている理由がわかっているのかもしれないけれど、口にはしなかった。
「じゃあ、さっそく……って、俺たちは行けないんだった」
エイエイオーッと腕を上げた水月くんが苦笑いしていると、その隣で陽太くんがひらひらと怠そうに手を振る。
「そこのなんちゃって桃神も含めて、俺たちは留守番。だから行ってらっしゃい」
「僕のご神木、やまももの木はこの地にあるのだ。そこから離れられないのは、仕方なかろう!? なのに、陽太は僕を無能扱いして……っ」
顔を真っ赤にして怒るオオちゃんは陽太くんの背中にしがみついて、その両耳を引っ張っている。対する陽太くんはオオちゃんを引き剥がそうと暴れた。
「ちょっと、痛いんだけど!」
「こらこら、ふたりともふざけないで」
お兄ちゃん気質である水月くんがそれを止めようと声をかけたときだった。
あまりの騒がしさに舌打ちをした那岐さんは、ツカツカと三人のそばへ歩いていく。
「美紀さん、本当ですか!」
私が声を上げると、水月くんが「美紀さんはなんて?」と声をかけてくる。
「東京に、一緒に暮らしてたマンションがあるって」
「……いや、誠はこの東出雲町に来ているようだぞ? どうやら、美紀の父君と母君のところへ行っていたらしいのう。理由は……本人から直接聞くとよい」
オオちゃんには誠さんが出雲町に来ている理由がわかっているのかもしれないけれど、口にはしなかった。
「じゃあ、さっそく……って、俺たちは行けないんだった」
エイエイオーッと腕を上げた水月くんが苦笑いしていると、その隣で陽太くんがひらひらと怠そうに手を振る。
「そこのなんちゃって桃神も含めて、俺たちは留守番。だから行ってらっしゃい」
「僕のご神木、やまももの木はこの地にあるのだ。そこから離れられないのは、仕方なかろう!? なのに、陽太は僕を無能扱いして……っ」
顔を真っ赤にして怒るオオちゃんは陽太くんの背中にしがみついて、その両耳を引っ張っている。対する陽太くんはオオちゃんを引き剥がそうと暴れた。
「ちょっと、痛いんだけど!」
「こらこら、ふたりともふざけないで」
お兄ちゃん気質である水月くんがそれを止めようと声をかけたときだった。
あまりの騒がしさに舌打ちをした那岐さんは、ツカツカと三人のそばへ歩いていく。