『黄泉の神々に、あなたのもとへ戻れないか相談してみます』

『……そうか! では、我も一緒に――』

『それはいけません!』

彼の言葉を遮るようにして遮った私に、『なぜ……』と動揺の滲んだ声が返ってきた。

『私の姿を見られたくないのです。だから、決してこの扉を開けてはなりません』

扉――岩にそっと手で触れた私は背を向けて、再び念を押す。

『約束ですよ』

『ああ、わかった』

私は暗闇だけが続いている道を進む。

けれど、そこから目的地までは信じられないほど長い道のりになるのを知っている。

どこまで進んだだろうか。時間の感覚さえも分からなくなっていた私の耳に、『どこにいるんだー!』という声が聞こえて、つい足を止める。

まさか、という胸騒ぎとともに近づいてきた足音に振り返ると――。

『イザナミ、やっと見つけ……』

来てはいけないと言ったのに追いかけてきてしまった彼は長い黒髪を揺らし、金色の帯や豪華な浅葱色の着物を身に着けている。

そして、信じられないことに那岐さんにそっくりだった。