「仕方ねえな」


 わざとらしく面倒そうに頭を掻いた彼に、炊き立てご飯の湯気にも似た温もりを感じながら、自分の顔が綻んでいくのを感じる。


「ふふっ、ありがとうございます」


 もし正一さんの言った通り、死したあとに死者の国で妹に会えるのなら。永遠の別れではない。

 だから茜、お姉ちゃんはそのときまで、この世界で精一杯生きてみせるよ。