翌朝、都会ではありえないほど聞こえる鳥のさえずりに気持ちよく目が覚めた。


 見覚えのない木目の入った天井に慣れない敷布団。
ずっとベットだったので、身体のあちこちが凝り固まったように鈍く痛む。


上半身を起こして腕を伸ばすと、私に与えられた八畳の畳部屋を見渡した。


 昨日、母に荷物を送ってもらうように頼んだのだが、すぐには届かないので近場にあった安い服屋で下着やら私服やらを買い揃えた。


それらは部屋にあった年季の入っている木製のタンスに仕舞わせていただいている。


 他人の家なのに畳の香りと障子窓から成るこの部屋が懐かしく感じるのは、私も根っからの日本人だからなのだろう。


 私は那岐さんから借りた那岐さんのお母様の浴衣を脱いで、私服のワンピースに着替える。


姿見の前に立って長い黒髪を後ろでひとつに結い、襖を開けて廊下に出た。


 私の部屋は二階にあり、しかも那岐さんの部屋の隣にある。彼の部屋の前を通ったが、物音ひとつしないので、もう起きているのかもしれない。


 手すりに手を滑らせながら階段を下りていくと、お味噌汁の香りがふんわり鼻腔に広がった。