「ふむ、懐かしい気がすると思った。那岐も気づいていたのだろう?」


 沈黙を肯定ととったのか、オオちゃんが私の答えを待たずに振り向く。その視線の先にいたのは、那岐さんだった。


「やっぱりな、会ったことがあるような気がしてた」


 なにがやっぱりなのかはわからないけど、切なげな彼の眼差しに目を奪われる。自然と見つめ合う私たちの間に、オオちゃんが立った。


「まだ断定とは言えんぞ。灯のほうは、おぬしを見てもなにも感じていないようだからな」

「わかってる。だが、可能性は高いだろ」


 那岐さんたちは勝手に話を進めているが、そろそろ帰ってもいいだろうか。

まあ、無職なので急いでいるわけでもないのだけれど、早めに再就職先を決めなければならない。

できれば、この足でハローワークにでも足を運んで就活に勤しみたいところだ。


「なになに? 那岐の探してる人って、灯ちゃんだったの?」


 水月くんまで参戦してしまい、話が段々盛り上がってきた。私は恩人相手に失礼だとは思ったのだが、ひと声かけることにする。