「向かいの席にも料理が出されたら、灯ちゃんの会いたい人に会えるからね。心の準備はいい?」
水月くんに尋ねられ、私は静かに息を吐く。自然とみんなの視線が自分に集まるのを感じながら、私は噛み締めるように「はい」と答えた。
そして、ついにコトリと向かいの席にトマトスープオムライスが置かれる。その瞬間、最初からそこにいたかのように、私の前には肩まである黒髪の女性が座っていた。
「あ、茜……なの?」
いまだに見ているものが信じられなくて、声が震える。
彼女の姿をまじまじと見つめれば、白いブラウスにデニムのミニスカートを着ていた。手に持った携帯といい、お店を飛び出して行ったあの日と同じ格好だ。
「お姉ちゃん……どうしてここに? ううん、ここはどこ? 私、死んだはずなのに」
動揺しているのは茜も同じらしく、私と店内を交互に見て「なんで?」「どうして?」を繰り返し呟いている。
私は時間を無駄にしないためにも気持ちを落ち着けようと肩の力を抜いて、改めて彼女に向き直った。
「茜、私があなたに会いたくてこの喫茶店に呼んでもらったの」
「お姉ちゃんが? あ、これ……」
半信半疑ながらも茜は目の前にある料理を見て、思い当たる節があるような表情をする。答えを求めるように顔を上げた彼女に、私は頷いてみせた。
「あの日、私たち喧嘩しちゃって食べきれなかったでしょ。だから、もう一度あなたとあの日をやり直せたらって……思って……っ」
その言葉の続きは、こみ上げてきた嗚咽に邪魔される。目の奥が熱くなり、涙で視界が歪んだけれど、私は口角を上げた。
水月くんに尋ねられ、私は静かに息を吐く。自然とみんなの視線が自分に集まるのを感じながら、私は噛み締めるように「はい」と答えた。
そして、ついにコトリと向かいの席にトマトスープオムライスが置かれる。その瞬間、最初からそこにいたかのように、私の前には肩まである黒髪の女性が座っていた。
「あ、茜……なの?」
いまだに見ているものが信じられなくて、声が震える。
彼女の姿をまじまじと見つめれば、白いブラウスにデニムのミニスカートを着ていた。手に持った携帯といい、お店を飛び出して行ったあの日と同じ格好だ。
「お姉ちゃん……どうしてここに? ううん、ここはどこ? 私、死んだはずなのに」
動揺しているのは茜も同じらしく、私と店内を交互に見て「なんで?」「どうして?」を繰り返し呟いている。
私は時間を無駄にしないためにも気持ちを落ち着けようと肩の力を抜いて、改めて彼女に向き直った。
「茜、私があなたに会いたくてこの喫茶店に呼んでもらったの」
「お姉ちゃんが? あ、これ……」
半信半疑ながらも茜は目の前にある料理を見て、思い当たる節があるような表情をする。答えを求めるように顔を上げた彼女に、私は頷いてみせた。
「あの日、私たち喧嘩しちゃって食べきれなかったでしょ。だから、もう一度あなたとあの日をやり直せたらって……思って……っ」
その言葉の続きは、こみ上げてきた嗚咽に邪魔される。目の奥が熱くなり、涙で視界が歪んだけれど、私は口角を上げた。